国連開発計画(UNDP)は6月16日、国連持続可能な開発目標(SDGs)に対するインパクトを狙って発行する債券「SDGボンド」に関するガイドラインの原案を発表した。7月31日までパブリックコメントを募集する。
今回のガイドライン案は、グリーンボンドやソーシャルボンドのルール形成を担ってきた国際資本市場協会(ICMA)とは全く関係のない形で、UNDPが独自にまとめたもの。UNDPは、SDGsの「インパクト」を重視したアクションを推進する活動「SDGインパクト」を運営しており、その一環として、債券に注目した活動に関心が及び、今回のガイドライン「SDG Impact Standards for SDG Bonds」策定に至った。
UNDPが定義する「SDGボンド」は、SDGに関するインパクトを資金使途とするボンドと、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)として条件設定するリンクボンドの双方のことを指す。そのため、同ガイドラインの対象範囲は、ICMAの定義するグリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドともに、サステナビリティ・リンクボンドを対象にするという。
同ガイドラインは、原則として、「戦略目的とインパクト目標の設定」「インパクト測定とインパクトマネジメント」「透明性と比較可能性」「ガバナンス」の6つで構成。ICMAの各原則との違いでは、発行に関するプロセスの規定が少ない代わりに、インパクトの測定手法について規定内容が多い。また、資金使途についてはICMAのように限定してはおらず、SDGsに関するインパクトの設定と測定をしっかり行えば、資金使途として認められるという内容になっているのも大きな特徴と言える。また、同ガイドラインについてのセカンドパーティ・オピニオン等の第三者評価の取得も推奨している。
今回のガイドラインは、ICMAの各ガイドラインとは違う角度で提示されてきたため、市場関係者の間では混乱が予想される。そのため疑問点や改善点等をパブリックコメントで伝えていくことが極めて重要となる。
【参照ページ】UNDP launches standards for bond issuers and private equity funds seeking SDG impact
【ガイドライン】SDG Impact Standards for SDG Bonds
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