金融世界大手米モルガン・スタンレーは7月20日、オランダの金融機関が主導してきた投融資のカーボンフットプリント算出基準策定機関「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」のグローバル・ステアリング・コミッティーに参画したと発表した。米銀行大手の参画は今回が初。
PCAFは、2015年に蘭ASN銀行の主導で発足し、銀行大手のABNアムロ、トリオドス銀行、官民出資の開発銀行FMO、運用大手のACTIAM、Achmea Investment Management、APG、MN、PGGM等ともにPCAFを運営してきた。
【参考】【オランダ】金融大手12社、投融資のカーボンフットプリント測定ガイドライン策定(2017年12月22日)
2019年にはグローバルでの影響力を高めるため、オランダ以外の金融機関を積極的に巻き込み、グローバル機関への変貌を遂げた。グローバル・ステアリング・コミッティーには、蘭ASN銀行、ABNアムロ、トリオドス銀行、米協同組合型銀行アマルガメーテッド銀行、地域金融機関が参画する国際的組織「Global Alliance for Banking on Values(GABV)」が選ばれており、今回これにモルガン・スタンレーが加わることになる。他にも全体で66銀行が加盟しており、資産合計は5.3兆米ドルになる。
現在PCAFは、グローバルでの投融資カーボンフットプリント基準「Global Carbon Accounting Standard」の策定を進めており、2020年中旬に初版を発行。その後の知見を得て、2022年中旬に第2版を発行するスケジュールで動いている。策定コアチームには、蘭ABNアムロ、トリオドス銀行、FMO、米協同組合型銀行アマルガメーテッド銀行、仏Credit Cooperatif、エクアドルのバンコピチンチャとProdubanco、パラグアイのVision Banco、ケニアのケニア商業銀行(KCB)、ナイジェリアのAccess Bank、南アフリカのファーストランド銀行、アイスランドのLandsbankinn、米投資運用ボストン・コモン・アセット・マネジメント、蘭投資運用Robecoが参画。モルガン・スタンレーもこれに加わる。
モルガン・スタンレーは今回、PCAFのグローバル・ステアリング・コミッティー入りとともに、融資ポートフォリオの二酸化炭素排出量(カーボンフットプリント)を測定し、公表することを宣言した。
米国では他にも、金融機関の投融資カーボンフットプリントを公表する動きが強まっている。7月9日には、ロッキーマウンテン研究所(RMI)が、「Center for Climate-Aligned Finance」を発足し、PCAFと協働する公式パートナーシップも締結した。同センターは、PCAFが策定する「Global Carbon Accounting Standard」に基づくカーボンフットプリント・データの環境の構築を進めていく。同センターには、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴが協力を表明しており、PCAFの動きは米国に大きく波及していくこととなった。
【参照ページ】Morgan Stanley Joins Leadership of Global Carbon Accounting Partnership
【参照ページ】New partnership to support financial institutions in their alignment with the Paris Agreement
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