米電力大手ネクステラ・エナジーは7月24日、ジョージア州プラントシェラーにある設備容量847MWの石炭火力発電所を停止し、フロリダ州で同社初となる二酸化炭素排出量フリー水素製造プラントへの投資を行うと発表した。製造した水素は、ガスを置き換えるために活用される。石炭及びガスから水素へのエネルギー転換が米国で進められている。
今回停止されるのは、同社最後の石炭火力発電所。水素製造プラントは、同州当局の承認後、2023年までに運転開始予定。同社子会社Florida Power & Lightを通じ、フロリダ州で太陽光発電で電力を供給し、再生可能エネルギー電力で水を電気分解することで生成する100%「グリーン水素」を生成する電解槽の試験運用に6,500万ドル(約69億円)を投じるとした。
今回の水素製造に伴い、フロリダ州オキーチョビーにある設備容量1.75GWのガス火力発電所の燃料となる天然ガスの一部を、Florida Power & Lightの電解槽で生成したグリーン水素に置き換えられる。今後、グリーン水素の経済性が高まった場合、同社はガス設備の一部を改造し、すべてまたは一部を水素で稼働させる構え。
今日世界で採算される水素の多くは、化石燃料の改質で生産される「グレー水素」。一方、再生可能エネルギー電力で水を電気分解することで生成する「グリーン水素」は、二酸化炭素を排出しない。水素は製造法に依らず、火力発電における天然ガスからの転換や、自動車や船舶の燃料・電力供給まで様々な用途で利用でき、エネルギーを完全に脱炭素するための手段として世界的に急速に普及してきている。
欧州委員会は7月8日、「EU水素戦略」を採択し、2030年までに、発電設備容量を40GW以上に拡大し、1,000万tの水素を生産する目標を設定。水素製造大手エアー・プロダクツは、設備容量4GWの風力発電および太陽光発電によるグリーン水素製造プラントをサウジアラビアに建設すると発表した。また、燃料電池製造ブルームエナジーは、商業用水素市場への参入を発表する等、市場は盛り上がりを見せている。
【参考】【EU】欧州委、「EU水素戦略」採択。再エネ電力での水電解式の水素戦略に注力。2030年までに1000万t
【参照ページ】NextEra Energy to Build Its First Green Hydrogen Plant in Florida
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