化学世界大手米ダウは9月11日、同社の2025年サステナビリティ目標の一つである環境インパクトの金額換算測定プログラム「Valuing Nature」で、同社の環境価値が5億米ドル(約527億円)に達し、目標額の50%を超えたことを公表した。
ダウは、Valuing Natureの下で、この自然資本の考え方を経営の中に組み込み、事業投資、不動産投資、R&Dに関するプロジェクトの意思決定時には、必ず自然資本観点での評価を実施するというプロセスを定めている。2016年にはValuing Natureのプロセスを通じて、2025年までに金額換算価値で10億米ドル(約1,100億円)の純現在価値(NPV)を創出する目標を掲げていた。
【参考】【アメリカ】ダウ・ケミカル、自然資本観点を経営に統合。各事業投資でアセスメント実施(2018年6月16日)
同社は今回Valuing Natureの事業例として、オランダ・テルネーゼンでの「水の再利用プロジェクト」、ブラジル・アラトゥ湾での「植生堤防の設置」、米アーカンソー州・ホットスプリングスでの「自然の生化学に基づく川の水質処理」を挙げた。
また、ダウは9月15日には、国際オリンピック委員会(IOC)と共に進めてきた「オリンピック・ムーブメント・カーボン・イニシアチブ」の期間を延長し、2回目のカーボンオフセット選定結果を11月に発表するとした。
両機関は、オリンピックの活動に伴う二酸化炭素排出量をオフセットする取組の一環として同イニシアチブを2019年に発足。IOC、NOC、IFの活動を指す「オリンピック・ムーブメント」関連から排出された二酸化炭素をオフセットするためのクレジットを募集している。第1回目の選定結果は2019年10月に発表されており、今年は11月の発表を計画している。今年からNOCの排出分もオフセット対象とするため、募集するクレジット量は増えると見られる。
【参考】【国際】IOCとダウ、国際競技連盟と国内オリンピック委員会にカーボンオフセットを共同提供。CO2削減狙う(2019年8月29日)
さらに、ダウは9月14日には、海上及び沿岸での石油ターミナル事業を、液体化学品ロジステックス大手蘭Royal. Vopakと運用世界最大手米ブラックロックの合弁企業First Reserve Energy Infrastructure Fundすると発表した。売却額は、6億2,000万米ドル(約654億円)。理由については、利益を生み出していないためと説明した。
今回の売却の内訳には、ルイジアナ州プラクマインとセントチャールズ、テキサス州フリーポートにある海上および沿岸の貯蔵タンクの運営権と資産が含まれる。売却手続きは2020年の第4四半期には完了する予定だが、ダウは今回、売却先の企業との間で長期調達契約を結び、現在水準と同等の価格水準で調達する権利を確保した。
【参照ページ】Dow reaches midpoint of “Valuing Nature” Goal; Company continues to deliver environmental and financial value through 2025 Sustainability Goals
【参照ぺージ】IOC and Dow announce phase two of Olympic Movement Carbon Initiative Award
【参照ページ】Dow announces sale of U.S. Gulf Coast marine and terminal operations and assets
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