日本経済団体連合会(経団連)は3月8日、会長・副会長会議で、電力政策に関する新たな提言「Society 5.0 with Carbon Neutral 実現に向けた電力政策」を決定。同日、公表した。経団連は2019年にも日本政府へのエネルギー政策提言書「日本を支える電力システムを再構築する」を発表していたが、その後に政府が2050年カーボンニュートラルを打ち出したことを受け、第二次提言をとりまとめた。
【参考】【日本】経団連、エネルギー政策提言書発表。原発推進と大手電力会社支援強化(2019年4月12日)
経団連は2019年4月の提言では、国民負担を引き下げるための再生可能エネルギー助成の縮小、送配電を担う大手発電事業者へ財政援助するための再生可能エネルギー発電事業者への傾斜課金、原子力発電の再稼働・新設を謳っていた。
それに対し今回の提言で、中西宏明会長は、「原子力抜きに2050カーボンニュートラルの実現は困難なことから、国民の理解を得られるよう、原子力の活用について真剣に議論する必要がある」と記者会見で発言し、原発を2050年カーボンニュートラルの柱としたい考えを明らかにした。そのため、提言でも、着実な再稼働、設備利用率向上、60年超運転の検討、長期停止期間の控除、リプレース・新増設方針の明示等を強く掲げた。この点は、自然エネルギー財団が3月9日に発表した提言と真っ向から対立している。
【参考】【日本】2050年カーボンニュートラル、脱火力・脱原発で再エネ100%で可能。自然エネルギー財団とLUT等(2021年3月10日)
再生可能エネルギーについては、次世代太陽光発電、浮体式洋上風力等の技術開発を長期目標として掲げた。短中期的には、FIT制度の考え方を転換し、競争力獲得を見込める電源の導入を重点的に加速するという従来からの立場を繰り返した。
一方、火力発電については、炭素回収・利用・貯留(CCUS)の付設、アンモニア専焼、水素混焼等を掲げ、なんとしても火力発電を維持したいという意向を伺わせた。
容量市場については、価格設定さえ適切であれば、用断面での調整力確保(ΔkW)費用やkWh価格の低下で相殺されるため、中長期的に見た社会的コストを増加させることはない。むしろ将来の電源不足に伴う市場価格のボラティリティを抑制することで、リスクプレミアム分だけ社会的コストを抑制することが期待されると断定。政策を維持するよう求めた。
【参照ページ】Society 5.0 with Carbon Neutral 実現に向けた電力政策
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