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【国際】国連や機関投資家、ウイグル人権問題で企業に対応要求。NGOはフランスで4社告発。ファストリも

 国連人権理事会(HRC)は3月後半、中国・新疆ウイグル自治区での強制労働や強制収監等の人権問題で、グローバル大手企業に対し、状況報告を求める書簡を送付した。HRCは同地での人権問題に関する状況報告書の作成を進めており、その一環。報告書は60日間に同分野に関するプレスリリースを発行する予定。

 今回の書簡が送付された対象は、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、スイス、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、日本、韓国、中国に本社のある企業。HRCは、これらの企業が、サプライチェーン上で強制労働に関与しているという情報を得たと説明している。業種としては、アパレル、農業、自動車、テクノロジーが含まれているという。

【参考】【日本】人権NGO、日本企業14社のウイグル自治区人権問題で「関係性が疑われる」と指摘(2021年4月9日)

 HRCのレターでは、同地で実施している人権デューデリジェンス体制の整備状況、デューデリジェンスの有効性に関するモニタリング・評価状況、人権侵害を防止・緩和するために取引先へ影響力を行使している手法、潜在的な「共犯」状態を防ぐために実行している内容の報告を求めている模様。

 人権分野の機関投資家イニシアチブInvestor Alliance for Human Rights(IAHR)も3月30日、世界47社に対し、新疆ウイグル自治区でのサプライチェーン上の人権デューデリジェンスを実施し、人権侵害に関与している企業との取引関係を断ち、一連の情報開示を行うことを要求する声明を発表している。同声明には、機関投資家57団体が賛同。運用資産総額は4.4兆米ドル(約480兆円)。

 47社には、日本企業では、日立製作所、ソニー、パナソニック、任天堂、ファーストリテイリングの5社。海外では、アディダス、NIKE、ウォルト・ディズニー、ケリング、H&M、インディテックス、ラルフローレン、プーマ、VFコーポレーション、フィリップ・バン・ヒューゼン(PVH)、アンダーアーマー、ヒューゴ・ボス、バーバリー、アマゾン、アップル、コカ・コーラ・カンパニー、インテル、マイクロソフト、マークス&スペンサー、シーメンス、シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー、ノキア、ターゲット、サムソン、グループ、フォルクスワーゲン、GM、HP等。

 4月上旬には、人権NGOのSherpa、国際アパレルNGOのClean Clothes Campaignのフランス支部を務めるEthique、Uyghur Institute of Europeの3団体は、新疆ウイグル自治区のキャンプに拘束されていたウイグル人女性1人とともに、フランス政府にアパレル4社を告発。フランスでは、2017年に「企業注意義務法(French Duty of Vigilance Law)」が制定。従業員5,000人以上のフランス企業および従業員10,000人以上の外国企業を対象に、人権デューデリジェンス実施責任を課している。

 今回告発されたのは、ファーストリテイリング、インディテックス、SMCP、スケッチャーズの4社。告発書では、新疆ウイグル自治区での強制労働に関与した証拠があると伝えている。告発書では、新疆ウイグル自治区の企業との取引を断つよう求めている。また今後、証拠が揃い次第、他の企業についても告発していくという。
 
 フランス企業注意義務法に関しては、ナント地方裁判所は2月、トタルのウガンダでの油田開発に関する気候変動デューデリジェンス過失で、管轄権を認める判断を下し公判が始まった。原告の一人は、今回と同じくSherpa。同法に関しては、NGOからの提訴が相次いでおり、1件目は、同じくトタルを相手取った事案だったが、ナント地方裁判所は管轄権がないと判断し、2020年1月に棄却。不服として控訴されたが、ベルサイユ控訴裁判所も同12月、地方裁判所判断を支持していた。だが2事案目で管轄権ありと判断された。

 人権問題に関しては、国軍クーデターが発生したミャンマーでも、NGOがアパレル大手に対し、人権デューデリジェンスの実施と開示を求めるアクションを取っている。

【参照ページ】Supply Chain Reviews for Forced Labor Encouraged for All Industries
【参照ページ】Citing Multiple Human Rights Risks, Investors Escalate Engagements with Companies Doing Business in Uyghur Region
【参照ページ】NGOS FILE COMPLAINT IN FRANCE AGAINST CLOTHING FIRMS OVER UYGHUR LABOUR
【参照ページ】First climate change litigation against TOTAL in France: 14 local authorities and 5 NGOs take Total to court

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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