中国石油化学大手の中国石化(シノペック)は7月5日、中国東部の勝利油田で、中国初の大規模CCUS(炭素回収・利用・貯留)プロジェクトの建設を開始したと発表した。2021年末に操業開始予定。中国で100万t以上のCCUSプロジェクトは今回が初。
今回、シノペックが行うCCUSは、石油増進回収(EOR)と呼ばれる手法。回収した二酸化炭素を油田に注入することで、油田からの採油量を多少引き上げることができる。EORは最も実現難易度が低いCCUS手法で、世界的に最も普及しているCCUS。但し、CCUSは化石燃料の石油を採掘することが前提となる使用方法のため、カーボンニュートラル後の世界では活用しづらい手法と認識されている。
今回のプロジェクトでは、同社の斉魯石油化学コンビナートで二酸化炭素を回収し、今後15年間で1,068万tの二酸化炭素を油田に注入。石油生産量が300万t引き上げられるという。斉魯石油化学コンビナートには、圧縮ユニット、冷凍ユニット、液化精製ユニットを整備し、精製後の純度は99%以上となる。勝利油田には、無人のガス注入ステーションを10機配備し、73個の井戸から二酸化炭素を注入する。
シノペックは2012年に、勝利油田で最初のCCUSを開始。石炭火力発電から二酸化炭素回収を開始した。同社の2020年の二酸化炭素回収量は130万tで、そのうち30万tがEORで活用された。
【参考】【中国】シノペック、2050年カーボンニュートラル目標発表。水素と天然ガスにシフト(2021年3月30日)
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