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【アメリカ】バイデン大統領、メタン削減計画発表。ガスから再エネ・原発への転換も

 米ジョー・バイデン大統領は11月2日、「メタン排出量削減アクションプラン」を発表。米国のメタン排出量を劇的に削減しつつ、消費者コストの削減、地位コミュニティと雇用の保護、重要なイノベーションの促進を実現すると表明した。

 メタン排出量削減では、11月2日に米国とEUが主導した「グローバル・メタン・プレッジ」に105ヶ国・地域が加盟して発足しており、米国は行動計画を示すことで、世界的な動きをリードする考え。今回の発表でも、新型コロナウイルス・パンデミック下で、エネルギー分野では雇用は減衰したが、風力発電、バッテリー、電気自動車(EV)の分野は成長を遂げたと強調している。

【参考】【国際】グローバル・メタン・プレッジ、105ヶ国・地域で正式発足。2030年に30%以上減(2021年11月3日)

 今回の発表では、まず、環境保護庁(EPA)が、大気浄化法(CAA)に基づき、石油・ガス産業でのメタン漏出削減を強化する新規制を打ち出すことを表明。提案する基準では、全国の排出源で、漏出量を約75%削減する。同様に、運輸省はパイプラインからの漏出を、内務省は公有地や水系での石油・ガス採掘での漏出・ガスフレアを削減させる政策を健闘していく。

 廃棄物埋立地からのメタン排出でも、EPAは、原因となる食品ロスや食品廃棄物を削減するためのアクションを強化。国内の全ての埋立地でメタン排出量を70%削減する連邦政府の目標達成のため、自主的プログラムの支援も強化する。

 廃鉱山や廃油井・ガス井からのメタン排出でも、内務省は、数十万箇所の油井・ガス井を密閉するプログラムを開始。公共事業での雇用創出にもつなげる。

 農業からのメタン排出では、農務省に対し、代替的な糞尿管理システム等の採用、農場での再生可能エネルギーの生成と利用の拡大、気候スマート農作物パートナーシップ・プログラムの開発、農業メタンの定量化と関連するイノベーションへの投資拡大等を指示した。

 さらにバイデン大統領は今回、メタン排出削減で、ガス燃料から再生可能エネルギーや原子力発電への転換も掲げた。まず、11月4日、第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)の場で、国務省と世界経済フォーラム(WEF)で、First Movers Coalition(FMC)を発足。アップル、APモラー・マースク、ボルボ・グループ、バッテンフォール、ヤラ・インターナショナル、フォーテスキュー・メタルズ・グループ、ダルミア・セメント等25社以上が加盟し、再生可能エネルギーや原子力発電の需要シグナルの発信を強化。これにより、脱化石燃料型エネルギーの投資を加速させる。加盟企業は、エネルギー消費量の多い鉄鋼、トラック輸送、海運、航空、アルミニウム、コンクリート、化学製品、大気直接回収の8つにフォーカスする。

 さらに、エネルギー省は、同省所管の国立研究所17機関でカーボンニュートラル型のエネルギー技術を開発し、国務省、国際開発庁(USAID)、貿易開発庁(USTDA)、国際開発金融公社(DFC)等と連携して、海外に広げるイニシアチブ「ネットゼロ・ワールド」も始動。最初のパートナー国として、アルゼンチン、エジプト、インドネシア、ナイジェリア、ウクライナの5カ国を選定した。

 続いて、「クリーンエネルギー需要イニシアティブ(CEDI)」では、再生可能エネルギーを調達したい企業のプラットフォームを構築。すでに30社以上が参画し、45社以上が参画に関心を持っているという。これにより各州での再生可能エネルギー投資需要を引き上げる。RE100とも連携する考え。

 技術イノベーションでは、今後10年間で安価なクリーンエネルギーを拡大させるための「エネルギー・アースショット」プログラムの第2弾を発表。第1弾では、クリーン水素と、長期エネルギー貯蔵を対象としたが、今回新たに二酸化炭素排出量除去(CDR)を対象としたプログラム「カーボン・ネガティブ・ショット」を打ち出した。エネルギー省が担当する。

 原子力発電では、米ニュースケール・パワー社との提携により、ルーマニアに世界初の小型モジュール炉(SMR)プラントを建設する計画を、ルーマニアと共同で、同日に発表した。

 海外支援では、国際開発庁(USAID)が同日、2つのプログラムを発表。まず、発展途上国への投資を促進するため、最大2.5億米ドルのシードマネーをUSAIDが拠出し、25億米ドルの民間投資を生み出す。さらに、プログラム「米欧エネルギー・ブリッジ」を拡大し、10年間で1億米ドルの投資も計画する。これらの予算は、今後、議会での予算承認を進める。

 農業イノベーションでは、11月2日にアラブ首長国連邦(UAE)と合同で「気候変動のための農業イノベーションミッション(AIM for Climate)」を発足。気候スマート農業と食料システムのイノベーションに対する官民の投資を促進するプログラムを打ち出した。すでに、日本、韓国、英国、カナダ、オーストラリア、ブラジル、スウェーデン、シンガポール、ケニア、ガーナ、メキシコ、ルーマニア、フィリピン、ベトナム、バングラデシュ等31ヶ国が参加を表明し、48のNGOもパートナーとして参画する。米国は5年間で10億米ドルを拠出する。気候変動のための農業イノベーションミッションは、4月にバイデン大統領が構想を発表して以降、すでに40億米ドルもの投資を呼び込むことに成功しているという。

 バイデン大統領は同日、2018年にノルウェー主導で発足した「持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル」にも加盟することも表明した。

【参照ページ】Fact Sheet: President Biden Tackles Methane Emissions, Spurs Innovations, and Supports Sustainable Agriculture to Build a Clean Energy Economy and Create Jobs
【参照ページ】Biden announces First Movers Coalition ahead of COP26 launch
【参照ページ】Launching Agriculture Innovation Mission for Climate

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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