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【国際】G20農相会合、持続可能な農業革命で合意。小規模農家にもアントレプレナーシップ重要

 G20は9月27日と28日、2022年議長国インドネシアのデンパサールで農相会合を開催。9月28日に議長声明が発表された。食料安全保障と栄養危機に対応するため、持続可能な農業・食料システムを強化することで合意した。5月のG7農相会合と同じ方向性が新興国も含めて確認された。

【参考】【国際】G7農相会合、短期的な食料対策とともに中長期的な食料・農業システム転換の継続で合意(2022年5月15日)

 G20農相会合は今回、7月に国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)が合同発行した「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)」報告書の2022年版を踏まえ、食糧事情が大幅に悪化していることをまず確認した。

【参考】【国際】FAO等、2021年に飢餓が大幅に悪化と報告。WBCSDは企業に4つの重要施策提言(2022年7月24日)
  
 その上で、持続可能でレジリエンスのある食料・農業システム、食料アクセスを全ての人に確保するためのオープンで公正で予測可能で透明かつ被差別的な農業貿易、農村部での農家の生計向上のためのデジタル農業を通じてイノベーティブな農業アントレプレナーシップの推進の3つが重要との考えで一致した。

 農業の持続可能性では、農業と生物多様性が相互に深く関係していることを認識し、生物多様性の喪失を食い止め、回復させることが重要と認識。これが、食料安全保障や栄養状況の改善、レジリエンスの確保の前提になるとした。その上で、生産性を持続的に向上させ、食料アクセスの向上を図る。また、食糧生産と消費の双方の多様化するため、地域産の食料を重視することも強調した。

 また食品廃棄物では、2030年までに小売店と消費者の双方のレベルで一人当たり50%減をする国際合意を再確認した。一方で、国単位のデータ不足と算出ガイドラインが整備されていないことを課題視。データ環境の整備で相互に協力し合うことにコミットした。

 農家の生計の観点では、女性、若者、先住民、農村・地域社会の不可欠な役割を強調。加えて、小規模農業が重要の役割を果たしていることを認識し、専門的な研修やキャパシティビルディングを通じて、生計を向上できる機会創出を重要視した。それを支援する上でも、ブレンデッド・ファイナンス等の資金調達へのアクセスを向上させる必要があるとした。

 薬剤耐性(AMR)では、ヒト、動植物、環境の健康を守るために、ワンヘルス・アプローチを統合し、実施することは不可欠との考えで合意。Codex最近採択した「食品由来AMRの統合的モニタリング及びサーベイランスに関するガイドライン」と「食品由来AMRを最小化し封じ込めるための実践規範」を歓迎した。

 気候変動の観点では、緩和と適応の双方で食料安全保障や食料・農業システムの対策が必要と強調。テクノロジー、キャパシティビルディング、気候レジリエント農法の研究開発へのファイナンスがさらに必要となるとした。ファイナンスを促進するためのインセンティブ制度、ツール、知識の共有等に関する相互協力が重要であるとした。その中でも先住民や地域社会の知恵を継承することが不可欠とした。

 農業貿易の強化では、世界貿易機関(WTO)を中核都市、ルールに基づき、開かれた、公正な、予測可能な、透明な、非差別的な、包括的な、公正な、持続可能な多国間貿易システムを強化することの重要性を強調。6月のWTO閣僚会議での合意を踏まえ、WTOルールに矛盾する形で輸出禁止や輸出制限を課さないことの重要性も確認した。不当な制限や歪曲的措置は、食料や肥料の価格変動をもたらし、食料安全保障や栄養に脅かすとの考えも盛り込んだ。将来のパンデミックに関しても、食料サプライチェーンを混乱させない形で対策に留めるべきとの考えでも一致した。

【参考】【国際】WTO閣僚会合、IUU漁業補助金禁止を決定。途上国のワクチン製造も可能に。食糧危機が大きな争点(2022年6月19日)

 デジタル化では、デジタル技術の活用が持続可能でレジリエンスのある食糧生産の向上に寄与すると認識。農家が幅広い選択肢を享受できるよう国内外の研究機関の協力と 、デジタル農業技術を含むイノベーションを官民双方の経路を通じて開発・拡大するための適切な資金提供の重要性を強調した。特に、小規模農家や家族経営農家の技術向上とキャパシティビルディングに焦点を当て、農場レベルでの持続可能な農業慣行の採用と資金アクセスへの機会を拡大し、若者、女性、新規就農者が革新的なアントレプレナーとなることを奨励した。

【参照ページ】G20 Agriculture Ministers’ Meeting “Balancing Food Production and Trade to Fulfil Food for All” 

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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