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【国際】G7農相会合、短期的な食料対策とともに中長期的な食料・農業システム転換の継続で合意

 G7は5月13日から14日にかけ、ドイツのシュトゥットガルトで、農相会合を開催。閉幕後に、共同コミュニケを発表した。ウクライナ戦争での食料安全保障の懸念を共有するとともに、以前から議論している食料システムの変革に向けたアクションの強化を再確認した。

 同コミュニケでは、ウクライナ戦争後の食料安全保障の悪化をロシア政府の責任として非難。世界の食料安全保障や栄養問題に深刻な問題を引き起こしているとした。さらに、気候変動、環境破壊、新型コロナウイルス・パンデミックが世界の食料システム全体を悪化させているとの懸念もあらためて発表した。

 対策としては、G20農相会合が発足し、国連食糧農業機関(FAO)が管理する「農産物市場情報システム(AMIS)」、FAO、経済協力開発機構(OECD)に対し、食料安全保障へのインパクト、食料価格の変動、食料備蓄の観点から分析と提言を行うよう要求。特に肥料を含めた食糧供給側の状況を注視するため、G20とも連携するとともに、AMISへの資金支援を拡大しにいくと宣言した。

 また、食料安全保障リスクが高まる中で、過渡に備蓄に走ると、さらに需給を逼迫させて、価格を高騰させるとの懸念を示し、市場の機能を安定化させることが重要との考えを強調した。

 その上で、従来から進めているサステナブルでレジリエントな農業・食料システムへの転換については継続を宣言し、短期的な施策のために、中朝敵的な転換を遅らせてはならないとの考えで一致した。そこで、国連事務総長が主導する「食料・エネルギー・金融に関する世界危機対応グループ(GCRG)」の活動を支持するともに、志を同じくする国や企業で、先行してアクションを起こしていくアプローチを確認。ドイツ政府が提唱した「食料安全保障のためのグローバル・アライアンス」構想を支持した。

 サステナブルでレジリエントな農業・食料システムへの転換に向けたテーマでは、気候変動、生物多様性、肥料マネジメント、薬剤耐性(AMR)、人・動物・自然環境の健康、食品ロス・食品廃棄物、人権、責任ある事業慣行、森林破壊、水・土地利用マネジメント等を挙げた。また、国際的な農業サプライチェーンを重視するともに、世界貿易機関(WTO)の体制としても、サステナブルでレジリエントな農業・食料システムを後押しするルール整備を目指すとした。

 さらに持続可能な農業サプライチェーンに向けては、民間主導のソフトローが自発的に整備されていることを認識。G7としては、ルールの国際的な協調を図るために、OECDのイニシアチブに役割を期待。環境・人権デューデリジェンスも含め、OECDが環境、社会、人権の基準について基準を示していくことで合意した。

 また、農業での炭素貯留の可能性についても確認。気候変動、生物多様性、農家の所得向上の観点から、G7としても積極的に後押しする。そこで、今後、農業での炭素貯留のカーボンクレジット化で、長期貯留の確保、リーケージ効果の回避、ダブルカウント(二重計上)の回避、生物多様性・水・土壌への潜在的悪影響の回避等について議論を深めていく考えも示した。

 これらの実現にカギとしては、研究とイノベーションの促進を提示。官民での投資を拡大することでも一致した。アグリテックやデジタル農業ソリューションが重要な役割を果たすとの考えも盛り込んだ。

 またG7は別途同日、短期的な食料安全保障問題に焦点を当てた外相会合も実施。国連事務総長が主導する「食料・エネルギー・金融に関する世界危機対応グループ(GCRG)」の活動を支持する等の共同声明も発表している。

【参照ページ】G7 Agriculture Ministers' Meeting - Özdemir received fellow ministers in Stuttgart
【参照ページ】Commitments on the Global Food Security Consequences of Russia’s War of Aggression against Ukraine - G7 Foreign Ministers, May 2022

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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