国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は2月13日、1.5℃シナリオ達成に向けた水力発電の課題とニーズについて分析した報告書を発表した。発電量だけではなくサステナビリティとレジリエンスを考慮する重要性を訴えた。
IRENAは2020年9月、持続可能な水力発電の実現に向けて水力発電に関する共同枠組みを発足。IRENAの1.5℃シナリオでは、水力発電の設備容量を2050年までに2倍以上にする必要があり、水力発電への年間投資額を現在の5倍に増やす必要がある。同枠組みは水力発電の課題を明らかにし、IRENAの関係者間の対話とベストプラクティスの共有を促進することが目的としている。
今回の発表は、IRENAに加盟する政府と水力発電事業関係者に向けて水力発電の現状の課題とニーズについてまとめたもの。水力発電のポテンシャルは発展途上国にあり、金融機関、政府、地域が協力し、必要な投資を実現する必要があるとした。また、太陽光や風力発電等の天候により発電量が変動する電源との統合の必要性があり、電源系統の柔軟性や電力調整の需要が高まり、水力発電の運用・保守のあり方の変化を予測した。
既存の水力発電所は老朽化が進んでいるだけではなく、気候リスクの悪化も考慮に入れた改修を進める必要があり、新規の水力発電所はこれらのリスクを取り入れた設計を行う必要があるとした。水力発電は気候リスクの影響を受けやすいが、事前に考慮されていればレジリエンスを高める要素になり得るとし、エネルギー供給のみに焦点を当てるのではなく、貯水の必要性、水管理、強制的な住民移転、生態系の分断等の考慮の必要性を訴えた。
【参照ページ】New IRENA report highlights hydropower’s evolving role
【参照ページ】Collaborative Framework on Hydropower
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