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【アメリカ】政府、新型コロナ国家緊急事態を終了。公衆衛生緊急事態は5月10日まで継続の模様

 米ジョー・バイデン大統領は4月10日、2020年3月に国家緊急事態法により発令された新型コロナウイルスに関する「国家緊急事態」を終了する連邦議会共同決議に署名。正式に国家緊急事態が終了した。しかし、今回の終了宣言はシンボル的な政策で、実質的な行政の変更は先送りされている。

 同国家緊急事態は、当時のトランプ大統領により、2020年3月13日に発令。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長が2日前に、新型コロナウイルス(COVID-19)を「パンデミック(世界的大流行)」と認定していた。

 国家緊急事態を終了させる連邦議会共同決議案は、1月9日に連邦下院に提出され審議がスタート。2月1日に連邦下院を通過し、3月29日に連邦上院を通過、4月5日にバイデン大統領に送られていた。そして4月10日に署名し、成立した。

 国家緊急事態宣言は、法律に基づき大統領が宣言できるものだが、具体的にどの権限を大統領が発動するかは、その時々で違う。トランプ大統領が3月11日に発令した国家緊急事態宣言では、社会保障法1135条のみに言及し、公的医療保険制度であるメディケア、メディケイド、州児童医療保険事業について州が従うべき特定の要件を一時的に免除する権限を連邦政府の保健福祉長官に与え、医療機関は通常の手続きを簡略化し、患者への対応ができるようになった。今回の国家緊急事態終了では、この措置が終了となる。

 一方、より重要なのは、保健福祉長官が2020年1月27日に発令した「公衆衛生緊急事態」宣言だ。同宣言に基づく緊急措置では、連邦政府から各州に医療費の特別補助が始まり、また国境での移民受入れ規制強化等が発動されている。公衆衛生緊急事態の解除に関する法案は、1月17日に連邦下院に提出され、1月31日に通過。だが、民主党が多数派を占める連邦上院では審議が始まっていない。

 バイデン政権は1月30日、「国家緊急事態」と「公衆衛生緊急事態」の終了について5月10日まで先送りする方針を表明。終了を急ぐ共和党を牽制した。理由については、医療アクセスが思わぬ形で閉ざされてしまう影響や、大量の移民が米国に流入していることを危惧し、準備が必要と説明した。

 移民への影響については、背景が複雑で、もともと共和党は移民受入れに反対、民主党は移民受入れに賛成の立場だ。「公衆衛生緊急事態」が発令されて以降、トランプ大統領は、合集衆国法典第42章(タイトル42)に基づき、移民受入れを制限。亡命申請者を本国へ強制送還している。これにより、ベネズエラ、キューバ、ニカラグア、ハイチからの移民が半減した。

 公衆衛生緊急事態を解除すれば、タイトル42に基づく措置も解除され、ベネズエラ、キューバ、ニカラグア、ハイチから大量の移民が流入するとも予想されている。共和党州は、民主党州に移民受入れ負担を求める政策も打ち出しており、民主党側は対策や理論武装に準備が必要な状況。

 もともと共和党は、「国家緊急事態」と「公衆衛生緊急事態」の終了を同時に進めていたが、民主党側は、シンボリックな「国家緊急事態」のみを先に進めることを決めた。実質的な「公衆衛生緊急事態」の解除は予定通り5月10日にする模様。

【参照ページ】Bill Signed: H.J.Res. 7
【参照ページ】H.J.Res.7 - Relating to a national emergency declared by the President on March 13, 2020.
【参照ページ】H.R.382 - Pandemic is Over Act
【参照ページ】STATEMENT OF ADMINISTRATION POLICY

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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