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【EU】EU理事会と欧州議会、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)案で政治的合意

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は12月14日、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続に入る。

【参考】【EU】欧州委員会、環境・人権デューデリジェンス指令案発表。非EU大企業も対象。立法審議へ(2022年2月25日)
【参考】【EU】環境・人権デューデリ指令の立法審議が大詰め。欧州議会は欧州委より厳しい修正案採択(2023年9月18日)

 同指令は、EUおよびEU域内での事業規模の大きい大企業に対し、自社の事業、子会社の事業、サプライチェーンに関し、人権と環境に及ぼす実際もしくは潜在的な悪影響に関するデューデリジェンスの実施を義務化するもの。

 義務対象企業は、従業員500人以上かつグローバル売上が1.5億ユーロを超える大企業と、特定セクターに関しては従業員250人以上かつグローバル売上が4,000万ユーロを超える企業。さらに同指令発効から3年後には、EU域内で売上が1.5億ユーロを超えるEU域外の大企業と、EU域内での売上が4,000万ユーロを超える特定セクターのEU域外企業にも適用される。対象となるEU域外の大企業に関しては、欧州委員会が対象企業リストを公表する。対象企業数はEU域内企業が約12,800社、EU域外企業が約4,000社。

 金融機関は、対象外となるが、将来的に適用対象とするか否かをレビューする条項が設けられた。

 義務化されるデューデリジェンスの実施内容は、

  • デューデリジェンスを自社の方針に組み込む
  • 適切な措置を講じる:a.人権と環境への実際または潜在的な悪影響を特定、評価、必要に応じて優先順位をつける。b.潜在的な悪影響を予防または緩和する。c.実際に生じている悪影響を終息、最小化、是正する
  • 通報メカニズムと苦情処理手順を確立、運営する
  • デューデリジェンス方針と対策の有効性をモニタリングする
  • デューデリジェンスについて公表する

 デューデリジェンスの内容について、環境に関しては、有害な土壌変化、水質汚染、大気汚染、有害な排出物、過剰な水の消費、天然資源等への影響等、測定可能なあらゆる環境悪化を含めた。特に、気候変動に関しては、気候変動緩和での1.5℃目標と整合性のある移行計画(トランジション・プラン)を作成し、最善の努力を尽くして実施する義務も盛り込んだ。

 人権に関しては、国際的な人権ルールを採用。特にILO中核的10条約の他、国際人権A規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)、国際人権B規約(市民的及び政治的権利に関する国際規約)、児童の権利条約等を盛り込んだ。

 デューデリジェンスには、影響を受けるステークホルダーとの対話と協議を含む有意義なエンゲージメントを実施することも、義務内容として組み込まれた。

 同指令に違反した場合には、企業のグローバル売上の5%以上の罰金を科す。さらに、民事責任に関しては、協定は影響を受ける人々の司法へのアクセスを強化し、労働組合やNGO等が悪影響に関係する人々に関する損害賠償請求権を5年間認める。また、証拠開示、差止措置、請求者の訴訟費用も制限する。加えて、最後の手段として、環境または人権への悪影響が確認された企業は、これらの影響を防止または終息させることができない場合、取引を終了しなければならない。

 今回の合意では、CSDDDへの準拠状況を、公共調達や政府委託案件の基準として導入していく内容についても盛り込んだ。但し、詳細はEU加盟国毎の判断に委ねられる規定になる模様。

 同ルールには、中小企業は義務対象外だが、サプライチェーンとして間接的に影響を受ける。そのため、中小企業支援として、個別または共同で専用のウェブサイト、プラットフォーム、ポータルを開発することや、中小企業に対する財政支援の可能性等も内容に含めた。中小企業支援に向け、欧州委員会は、モデル契約条項を含む具体的な指針を採択していく考え。

【参照ページ】Commission welcomes political agreement on rules enforcing human rights and environmental sustainability in global supply chains
【参照ページ】Corporate sustainability due diligence: Council and Parliament strike deal to protect environment and human rights

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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