
国連責任投資原則原則(PRI)は3月5日、EUに向けたサステナブルファイナンス提言書「2030年EU政策ロードマップ」を公表した。6つの政策優先事項を設定した。
欧州委員会は2018年に「持続可能な成長のためのファイナンス行動計画」を発表。その後、サステナブルファイナンス強化に関する政策や法規制を次々と打ち出してきた。PRIは今回、EUの政策は機関投資家に歓迎されているものの、立法の複雑さやペースの遅さが大きなハードルとなっていると指摘。また、企業と投資家の情報開示に重点が置かれた結果、実際の世の中へのインパクトが必ずしも想定通りに行っていないことを課題として言及した。
今回示した6つの提言は、
- トランジションファイナンスを強化するため、セクターロードマップの迅速な策定、包括的な国家戦略の策定、企業の移行計画(トランジション・プラン)策定、EU気候タクソノミーの適用対象拡大、EU資金調達手段の迅速な整備を実行する。
- サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)を改正し、すべての金融商品および商品カテゴリーを対象とし、相応の最低基準を設定。ESG投資の開示要件を明確化する。
- サステナブルファイナンス方針の中であらゆる形態のエンゲージメントの重要性を認識され、受託者責任(フィデュシャリー・デューティ)をさらに明確する新たなオムニバス法を制定し、投資家のスチュワードシップを強化する。
- 税制と政策エンゲージメントに関する実効性の在るコーポレートガバナンスを確保し、欧州サステナビリティ開示基準(ESRS)の見直しにおいて企業報告の改善を継続する。
- サステナビリティの成果に焦点を当てた政策の重要性についてのコンセンサスを求めるため、世界中の政策立案者と協力し、グローバルな相互運用性を促進する。
- 気候変動、自然、社会政策を実施する。これらの問題は、投資意思決定との関連性が高まっており、金融市場は、経済移行のためにこれらの政策の効果的な実施に依存している。
EUでは、欧州委員の改選と欧州議会選挙が予定されており、それに向けてPRIとしての意思を示したもの。PRI署名機関が各ステークホルダーと対話していく際の指針としてまとめられた。
【参照ページ】PRI unveils 2030 EU Policy Roadmap to accelerate private investment in the sustainable economic transition
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