
欧州委員会は5月23日、モンデリーズ・インターナショナルに対し、EU競争規則違反で、3億3,750万ユーロ(約570億円)の制裁金を科した。EU加盟国間のチョコレート、ビスケット、コーヒー製品の国境を越えた取引を妨げたと判断された。
EUでは、価格の安い域内市場で製品を調達し、価格の高い市場で取引する裁定取引を奨励しており、これにより価格の高い国での価格下落効果があるとみている。一方、これらの越境裁定取引を妨害する行為は、競争法違反とみなされる。
欧州委員会は2019年11月、オーストリア、ベルギー、ドイツのモンデリーズ現地法人に対し、抜打ち検査を実施。また2021年1月に正式手続を開始していた。結果、チョコレート、ビスケット、コーヒー製品の国境を越えた取引を制限することを目的とした反競争的協定または協調的慣行に関与したことと、チョコレート・タブレットの販売に関する特定の国内市場における支配的地位を乱用したことが認められた。
具体的には、まず、7社の卸売事業者が同社の製品を再販できる地域または顧客を限定していた。ある契約では、同社の顧客に対し、国内販売に比べ輸出に高い価格を適用するよう命じる条項も含まれていた。これらの契約行為と協調的慣行は、2012年から2019年の間に行われ、全てのEU市場を対象としていたという。また、特定の加盟国で活動する10社の独占販売業者が、モンデリーズの事前の許可なく、他の加盟国に所在する顧客からの販売要請に応じることを禁止していた。これらの行為は2006年から2020年の間に行われ、同様にすべてのEU市場を対象としていた。
支配的地位の乱用では、価格が比較的高いオーストリア、ベルギー、ブルガリア、ルーマニアの地域でのチョコレート・タブレット製品の転売を防ぐために、ドイツでの卸売事業者への供給を拒否。さらに、より高い価格で販売していたベルギーへの輸入を防ぐため、オランダでの製品の供給を停止していた。
同事案では、行政処分とは別に、反競争的行為の影響を受けた個人または企業は、各EU加盟国の裁判所に提訴し、損害賠償を求めることもできる。
【参照ページ】Commission fines Mondelēz €337.5 million for cross-border trade restrictions
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