
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は5月27日、ヒト由来物質(SoHO)規則案を可決した。同EU規則はすでに欧州議会を通過しており、同EU規則が成立した。官報掲載後に発効する。
SoHO規則は、血液、組織、細胞に関する現行のEU指令を廃止し、新たな規則に置き換えるもの。SoHO規則はもともと、1980年代から1990年代にかけ、臓器移植や輸血の感染症リスクを回避するために制定されたもので、EU加盟国が遵守すべき原則を定めていた。しかし、新型コロナウイルス・パンデミック等をふまえ、EU域内での制度が共通化していないことにより、EU域内での血液、組織、細胞の越境流通が阻害されていることを課題視。新たな統一ルールを制定することとなった。
今回の新EU規則では、SoHOの適用対象を拡大し、母乳や腸内細菌にまで拡大。また将来ヒトに適用される可能性のある分野までカバーした。同規則では、ドナーの登録と試験、収集・加工から、ヒト由来物質のヒトへの適用と臨床結果のモニタリングまで、幅広い活動を対象としている。
今回の制度では、まずEUレベルの機関として「SoHO調整委員会」を設置し、EU加盟国の規則実施を支援する。さらにSoHO製剤の評価や許認可に関するEU共通の手続も導入する。SoHOの加工、保管、リリース、輸出入を行う施設に対する追加認可及び検査要件も定める。関連事業の登録と情報交換のための新たな共通ITプラットフォーム「EU SoHOプラットフォーム」も構築する。
新規則では、SoHOの提供は原則として、自発的かつ無報酬でなければならず、ドナーに金銭的なインセンティブを提供することも禁止。現存するドナーは、国内法に従い、適切な補償または払戻しを受けることができる。
ドナーや被提供者にリスクをもたらす可能性のある重大な事故や反応に対処するための迅速な警告システムについても規定した。EU加盟国はまた、自国における重要なSoHOの十分かつ適切でレジリエントな供給を確保するため、危機的な不足への対応策を含む国家緊急計画を策定する等、合理的な努力義務も課した。EU加盟国は、自国民を保護するために、共通ルールより厳しい措置を適用することも可能。
【参照ページ】Council adopts new rules on substances of human origin
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