
経済産業省中小企業庁は6月21日、3月に実施した価格交渉促進月間でのフォローアップ調査結果を発表した。正当な理由のない原価低減要請等により価格転嫁できず、結果代⾦が減額となったと回答した企業が1.2%の約800社あった。
中小企業庁は、エネルギー価格や原材料費、労務費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、2021年9月から毎年9月と3月を「価格交渉促進月間」と設定。2022年7月には、下請中小企業振興法を改正する中で「振興基準」を設け、発注側企業に対し、受注側中小企業との間での価格交渉や、価格転嫁に積極的に対応するよう要請している。
内閣官房と公正取引委員会は2023年11月、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を発表。労務費の転嫁に係る価格交渉について、発注者及び受注者が採るべき行動を12の行動指針として取りまとめた。それを踏まえ、今回の中小企業庁の調査では、「労務費について、価格交渉できたか」も調査された。
その結果、価格交渉が行われた59.5%の企業のうち、68.9%は労務費の価格交渉も行われたと回答。一方、労務費が上昇し、価格交渉は必要と判断したものの、交渉できなかったが8.8%もいた。また、「正当な理由のない原価低減要請等により価格転嫁できず、結果、代⾦が減額となった」が新たに設問回答選択肢として設けられ、1.2%がこの状態と回答した。
発注企業の業種別に⾒ると、全体平均の1.2%を上回った業種は、建設(1.7%)、繊維(1.6%)、⾃動⾞・⾃動⾞部品(1.4%)、⽯油製品・⽯炭製品製造(1.3%)、機械製造(1.2%)。中には、下請法違反(減額)が疑われる事例や、「原価低減要請」に係る振興基準上不適切と思われる事例も存在したという。
中小企業庁は8月上旬を目途に、発注企業の社名リストを公表する。社名リストの公表後に評価が芳しくない発注企業の経営者トップに対しては、事業所管⼤⾂名での指導・助⾔を実施する予定。
【参照ページ】価格交渉促進月間(2024年3月)フォローアップ調査の結果を公表します
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