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【日本】味の素、東大・お茶女と減塩で電気調味料を世界初開発。ウェアラブルデバイス開発も

 味の素は9月10日、東京大学大学院情報学環の暦本純一研究室の中村裕美特任准教授、及びお茶の水女子大学SDGs推進研究所の笠松千夏特任教授との共同研究により、経皮電気刺激を活用して食品の味を調整する新たな概念「電気調味料」を世界で初めて開発したと発表した。

 電気調味料とは、下顎前部と首後部への微弱な電気の刺激で味覚をコントロールする味の素が開発した技術のこと。今回、経皮電気刺激によって複数の食品の味がより強まることを実証した一連の研究成果が、高血圧領域の臨床および基礎の原著研究論文を中心とした国際学術誌「Hypertension Research」に掲載された。

 塩分の過剰摂取は様々なリスクの原因となる世界的な健康課題。世界保健機関(WHO)は、1日当たりの食塩摂取量を5g未満にすることを推奨している一方、厚生労働省「国民・健康栄養調査」によると、日本人の1日あたり食塩摂取量の平均値は10.1g(男性10.9g、女性9.3g)と過剰摂取の状況にある。

 近年、新たな減塩手段としてフォークやスプーンなど電気が流れる食器および食品を介して舌に電気刺激を加えることで、食器が口に接触している間の食品の味を増強させる技術が報告されており、液体系食品への活用が始まってる。味の素が開発した経皮電気刺激による技術は、咀嚼・嚥下中でも電気刺激の効果があり、液体系だけでなく固体系食品にも応用できるという。

 今回の共同研究では、まず塩分濃度が低い食品のモデルとして濃度が0.3%、0.6%の食塩水の塩味増強効果を検証し、ともに有意に塩味が強まることを実証。次に、液体や固体、和洋中様々なジャンルの6種の減塩食品について、経皮電気刺激の影響を検証したところ、全てにおいて有意な塩味の増強が確認された。また食品によっては、塩味だけでなくうま味や酸味も強まり、かつ風味も変化することが示され、電気刺激は食品の味だけでなく風味にも影響を与えることを実証した。

 さらに同社は、同技術を活用しやすくするため、首または耳に掛けて使用するウェアラブルデバイスのコンセプトを開発。同デバイスを食事中に装着することで喫食している食品の塩味を持続的に増強できるため、減塩を必要とする生活者の負担を軽減し、おいしい減塩をサポートすることが可能になる。同社は今後、同デバイスを活用した新たなサービスの開発を進めていく。

 一方、キリンホールディングスと明治大学の宮下芳明研究室は2020年9月、減塩食品の塩味を約1.5倍にする技術を搭載したスプーン及びお椀型デバイス「エレキソルト」を共同開発している。

【参考】【日本】キリンと明治大学、スプーン・お椀型デバイス共同開発。減塩食品でも塩味1.5倍(2022年9月13日)

 また同社は9月5日、持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)に加盟したと発表。WBCSDが展開するイニシアチブ「Agriculture & Food Pathway」および「Climate Imperative」の活動に参画する他、今後、WBCSD加盟企業等と協働していく。

【参照ページ】味の素㈱、東京大学、お茶の水女子大学との共同研究で「電気調味料」の技術を開発 【参照ページ】味の素㈱、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)に加盟 【画像】味の素

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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