
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は8月29日、EU二酸化炭素排出量取引制度(EU-ETS)でモニタリング・報告規則改正案を採択。これにより同規則の改正が成立した。
今回のEU規則改正は、改正ETS航空指令が2023年に成立したことを受けたもの。同指令改正では、航空業界については、2026年までに無償割当量を段階的に廃止することが決定。但し、化石燃料から移行するためのインセンティブとして、2,000万tの無償割当量を確保ことが決まっている。適用対象は、英国とスイスへの出発便を含む欧州域内のフライト。国際民間航空機関(ICAO)の排出量取引制度「CORSIA」は、2022年から2027年の期間は、CORSIAに参加している第三国との間の欧州域外のフライトのみに適用される(クリーンカット制度)。また、二酸化炭素以外の温室効果ガスに関しても、モニタリング・報告・検証(MRV)の枠組みを検討し、2028年1月1日までに欧州委員会は対象化を提案していくにもなっている。
【参考】【EU】EU-ETS改革と炭素国境調整メカニズム(CBAM)の関連法成立。CBAMは2026年から(2023年4月27日)
【参考】【EU】改正再エネ指令とReFuelEU Aviation規則が成立。再エネ2030年に42.5%以上に(2023年10月15日)
今回の実施規則改正により、航空業界を対象とした排出量取引制度の具体的な実施内容が全て固まった形。まず、EU-ETSにおける非生物由来再生可能燃料(RFNBO)、再生炭素燃料(RCF)、合成低炭素燃料(SLCF)の燃焼による排出係数がゼロに設定されることが決定した。これにより幅広い持続可能な航空燃料(SAF)の排出係数がゼロとなった。但し、再生可能エネルギー指令(RED II)に定められた基準の導入を義務化した。具体的には、「追加性(アディショナリティ)」の観点から、RFNBO製品に使用される電力は再生可能かつ追加的でなければならない。また、温室効果ガス排出削減の観点から、ライフサイクルベースで同等の化石燃料と比較して少なくとも70%排出量が削減されていることも条件となる。
さらに、二酸化炭素以外の温室効果ガスを対象としたモニタリング・報告・検証(MRV)を2025年1月1日から開始することも決定した。
【参照ページ】New monitoring rules agreed for the EU ETS, including non-CO₂ emissions from the aviation sector
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