
国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は9月24日、再生可能エネルギーの発電コストを分析した報告書の2024年版を発表した。
【参考】【国際】IRENA、2022年の世界の発電コストが再エネで76兆円減。電気料金引下げに寄与(2023年8月31日)
今回の発表は、2023年の再生可能エネルギーの発電コストを分析したもの。2023年の再生可能エネルギーの新規設備容量は、2022年と比較して52%増の473GWで過去最高を記録。81%に当たる382GWは化石燃料火力発電コストよりも安かった。再生可能エネルギーの総設備容量は2022年の3,391GWから3,865GWに14%増加した。
世界の再生可能エネルギー毎の平準化電力コスト(LCOE)は、2022年から2023年の比較で、太陽光発電は12%、洋上風力発電は7%、陸上風力発電は3%、集光型太陽光発電は4%、水力発電は7%低下。一方、バイオマス発電は14%、地熱発電は23%コストが増加した。
(出所)IRENA
世界の再生可能エネルギー毎のLCOEは、2010年から2023年までの間に劇的に低下。化石燃料のLCOEと比較した場合、太陽光発電は56%、洋上風力発電は25%、陸上風力発電は67%も安い。集光型太陽光発電は、2010年には化石燃料と比較し339%高かったが、2023年には17%高い状況までコストが低下した。
(出所)IRENA
同報告書は、2000年以降に新規追加された再生可能エネルギーの発電により、2023年の発電に必要な燃料費を4,090億米ドル(約57兆円)削減できたと報告。2000年から2010年までの累積削減コストは、アジアが最も高く2,120億米ドル(約30兆円)、ヨーロッパが880億米ドル(約13兆円)、南米が530億米ドル(約7.6兆円)。
国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)では、2030年までに再生可能エネルギー設備容量を3倍にする目標が掲げられているが、蓄電技術も進化させる必要がある。蓄電プロジェクトのコストは2010年から2023年までに89%低下。送電網インフラの課題に対処し、再生可能エネルギーの大半を占める太陽光発電と風力発電の既存インフラへの統合を促進している。
【参考】【国際】IEA、再エネの電力システム統合度で国別評価。日本は6段階で下から3番目(2024年9月19日)
IRENAは、再生可能エネルギー発電は、最も低コストであり新規発電プロジェクトのスタンダードであると強調。各国政府は、2025年11月までにパリ協定に基づき、2035年までの国別削減目標(NDC)を国連気候変動枠組条約事務局に提出する必要がある。政府に対し、再生可能エネルギー設備容量を3倍化する目標にも焦点を当て、政策、規制、市場設計、リスク回避メカニズム、資金調達等の手段を適合させることを求めた。
【参照ページ】Record Growth Drives Cost Advantage of Renewable Power
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら