
世界経済フォーラム(WEF)は9月23日、世界の重要鉱物の持続可能かつ手頃な(アフォーダブル)価格で公平に供給する方法を提唱した報告書を発表した。
同報告書は、世界的に需要が増加し続けている重要鉱物に関して安定的かつ十分な供給量を確保するために必要な解決策を提案したもの。マッキンゼーと共同制作した。
目下、電気自動車(EV)、太陽光発電パネル等、多くの低炭素技術には、希少な鉱物や金属が重要だが、特に発展途上国での供給が不足し、気候変動目標の達成や社会、経済面での発達を阻害するリスクがある。WEFは今回、多様なステークホルダーの協力、的を絞った政策での支援、イノベーション等が、需給の不均衡を解消し持続可能なクリーンエネルギーを確保するために必要と強調した。
また、同報告書では、エネルギー移行に伴い、リチウムや銅等の重要鉱物の需要、供給量は増加していると報告。しかし、一部の重要鉱物の供給量は需要に追いついておらず、深刻な供給不足に直面する見通し。
その上で、安定的かつ十分な量の重要鉱物を確保する上での障壁を3つ挙げた。1つ目は、資金調達に関する財務上の障壁。採掘プロジェクトへの支出額が高額であり不確実性が高いこと、初期段階へのイノベーションへの投資リスクが高いことを挙げた。
次に、規制と政策の障壁。長い時間を要する許認可プロセス、複雑な規制枠組み、インフラや熟練労働者の不足による新規採掘プロジェクトの遅延に課題があり、重要鉱物に対する明確な需要シグナルの不足も投資判断を複雑にする要因とした。
最後に、ESG及びデータの障壁。ESGに関する標準化された枠組みの不足、鉱物に関するデータの透明性の不足から、投資家とステークホルダーの協力を妨げているとした。
解決策として、的を絞った政策介入、セクター横断的な協力体制の構築、幅広いイノベーションの必要性を強調。新規及び既存の採掘プロジェクトへの投資の強化、再処理及びリサイクルの増加、新技術等のイノベーションの推進、許認可プロセスの合理化、政策の複雑性の緩和、ESG基準の標準化等の解決策を提案した。
また、これらの施策が実現できるようグローバルサプライチェーンの構築を支援し、世界全体で利益を享受できるよう、政府、民間、スタートアップ、国際機関、地域社会等、すべての主要なステークホルダーが関与するパートナーシップとアクションの重要性を訴えた。
【参照ページ】New Report Shows How Critical Minerals Can Drive Global Energy Transition
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