
中国では2023年に飼料大豆需要の大幅削減に成功。肉・卵を1億7,500万t以上を生産しながら、飼料用大豆ミール使用量を730万t、飼料大豆需要全体を900万t以上削減した。
中国では目下、政府主導で、飼料大豆削減の大改革が進められている。まず、中国では過去10年間で、年間飼料生産量が1億9,300万tから3億200万tへと大幅に増加。特に大豆ミールは重要な飼料タンパク質として使用されている。その結果、中国で消費される大豆の約70%が飼料用途となっており、大豆の88%以上が主にブラジルとアルゼンチンからの輸入に依存している。
この状況を、中国政府は国家食糧安全保障上のリスクと判断。2022年に第14次国家飼料産業発展5ヵ年計画を、さらに2023年4月には飼料用大豆ミール削減3ヵ年行動計画を発表。飼料に占める大豆ミールの割合を現状の14.5%から、2025年までに13%以下に削減する政策を発動し、高品質な飼料の国内生産量目標を9,800万tと定めた。1.5%幅の削減は、大豆ミール消費量を680万t、最終的には大豆需要全体を870万t削減する規模となる。
大豆需要の削減は、畜産事業者のイノベーションによって進められてきた。主な方策は3つある。まず、低たんぱく質飼料への転換によるたんぱく質消費量の削減。次に、綿実ミール等の代替たんぱく源や食品ロス及び畜産副産物等への代替。最後が、耕作地、休耕地、悪条件土地でのトウモロコシ、アルファルファ、オート麦等の高品質飼料作物の栽培。これにより、すでに飼料大豆需要全体を900万tの削減に繋がり、飼料コスト1t当たり17米ドルのコスト削減も実現している。同時にブラジル等の森林破壊削減効果も期待されている。
これを受け、機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は10月16日、大豆ミール代替品や革新的なタンパク質テクノロジーに関連する産業は、投資家にとって有望な新たな機会を提供しており、菜種ミール、綿実ミール、微生物たんぱく質等の代替たんぱく源市場の拡大が見込まれていると力説した。
【参照ページ】Could China’s Soy Policy Changes Drive a Sustainable Agricultural Transformation?
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