
オランダNGO栄養アクセス財団(ATNF)は11月7日、食品大手の栄養に関する経営レベルのランキング「栄養アクセス・インデックス(Access to Nutrition Index:ATNI)」のグローバル・インデックス2024年度結果を発表した。日本企業も4社が対象となった。
ATNIの発表は、初回が2013年。その後、2016年、2018年、2021年と続き、今回が5回目。評価手法は毎回少しずつ変化している。今回のスコアリング構成比では、取締役会での栄養ガバナンスが15%、製品栄養が30%、製品ポートフォリオ改善が10%、栄養プロファイリングモデル(NPM)の開示が5%、アフォーダビリティが15%、責任あるマーケティングが15%、職場での栄養が5%、責任ある商品ラベルが5%。全体的に製品栄養評価のウェイトが上がり、マーケティングやラベルのウェイトが下がった。
2024年度評価の対象企業数は、前回の25社から30社へと増加した。日本企業は前回までの味の素、明治ホールディングス、サントリーホールディングスの3社に加え、日清食品ホールディングスが加わった。対象製品数は52,000品目以上で、世界市場の23%を占める。市場調査の対象市場は前回同様25市場だった。
首位はダノン。その後に、フリースランド・カンピーナ、アルラ・フーズ、グルポ・ビンポ、ユニリーバ、ペプシコ、キャンベル・スープ、ケラノバ、ネスレと続く。
(出所)ATNI
日本企業では、明治ホールディングス11位、日清食品ホールディングス17位、サントリーホールディングス22位、味の素24位だった。そのうちサントリーホールディングスは非回答。味の素は、製品栄養、製品ポートフォリオ改善、NPM開示でスコアが伸び悩んだ。
製品の栄養評価では、オーストラリアのヘルス・スター・レーティング(HSR)評価システムを用い、30社の52,414品目の分析。31%に該当する合計16,467品目が、健康的な基準値(5段階中3.5つ以上)を満たしており、2022年の各社の合計売上高の34%に相当すると推定されるという。ATNiは、2030年までに50%以上に引き上げるよう各社に要請しているが、現時点で達成している企業は30%にとどまっている。
ATNIは今回、国際的に認知された栄養素プロファイリングモデル(NPM)を使用して製品を「より健康的」に分類し、ポートフォリオの健康性を改善する目標を設定する企業が増え、30%にまで達したと指摘。しかし全体としては、製品ポートフォリオの健全性等の主要指標はわずかな改善しか見られていないと伝えた。また、企業の健康的な製品の推定販売額は増加しており、消費者がますます健康志向製品を購入するようになっていることを示しているとも述べた。
また史上別では、低・中所得国の食品全般の健康度は、高所得国(平均HSR2.3)よりはるかに低い(平均HSR1.8)。全体レベルでは、評価対象となった30社が販売している「あまり健康的でない」製品のシェアは、高所得国よりも低・中所得国の方が高かった。
ATNIは今回、企業に対し、18歳未満へのマーケティングを自主的に中止し、製品ポートフォリオの健康性を改善し、国際的に認知された栄養素プロファイリングモデルを用いて、健康的な製品と不健康な製品の売上を完全に開示することをあらためて要請。政府に対しては、企業が公衆衛生を守れるよう規制を強化し、より健康的な食品をよりアフォーダブルに、より健康的でない食品をより高価にするための財政政策を提唱した。さらに機関投資家に対し、企業エンゲージメントも呼びかけた。
【参照ページ】Global Index 2024
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