
英エネルギーデータ大手ブルームバーグNEF(BNEF)は10月31日、韓国の2050年カーボンニュートラルを実現するために必要なアクションを分析した報告書を発表した。
同報告書は、韓国が2050年までにカーボンニュートラルを達成するために必要な戦略やアクションを提言したもの。韓国がカーボンニュートラルを達成するためには、クリーン電力の拡大と二酸化炭素回収・利用(CCU)の拡大が鍵だとした。
同報告書では、韓国が2050年カーボンニュートラルを達成するためには発電による温室効果ガス(GHG)排出量を3分の2以上削減する必要があると指摘。しかし、韓国の国別削減目標(NDC)では、2018年比で40%削減することを目標としており、BNEFのネットゼロ(NZE)シナリオの想定である50%より低い。気温上昇を2.6℃に抑える「経済移行シナリオ(ETS)」に沿った移行であれば、同期間のGHG排出量の削減は18%にとどまるという。
韓国がNZEシナリオを実現するために最も重要なソリューションとして、CCUを挙げた。NZEシナリオにおける削減量のうちCCUは41%を占めており、世界平均の14%よりかなり高い。次に、再生可能エネルギーと原子力発電によるクリーンエネルギーが重要となり削減量の17%を占めるが、世界平均の45%のシェアより大幅に低い。
(出所)BNEF
CCUが優先される理由として、韓国の地理的な課題が背景にある。大規模な再生可能エネルギープロジェクトを実現することに適した土地を見つける難易度が高いとした。
BNEFは今回、韓国では、化石燃料発電所の73GWのうち約3分の1にCCU設備をつける必要があると言及。同時に、太陽光発電と風力発電の導入を加速させ、2050年までに現在の10倍の304GWにする必要があるとした。
カーボンニュートラルを実現するために必要な投資額は、2024年から2050年までにETSシナリオよりも37%高い2.7兆米ドル(約418兆円)。年間では1,020億米ドル(約15兆円)となり、2023年の韓国のGDPの約6%に相当する。
韓国の2023年のエネルギー転換に関する投資額は、250億米ドル(約3.9兆円)。NZEシナリオを実現できれば、韓国の化石燃料の輸入の必要性は減少し、エネルギー安全保障も高めることが可能。加えて、EVやバッテリー等の韓国が強みを持つ産業への需要も高まるとした。カーボンニュートラル達成に向けて、投資家の信頼を高め、明確で一貫性のある政策枠組みの策定を求めた。
【参照ページ】South Korea’s Green Transition Hinges on Expanding Clean Power and Developing Carbon Capture and Storage: BloombergNEF
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