
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は12月3日、すでに成立している森林破壊・森林劣化規則(EUDR)の義務適用開始日を12ヶ月間遅らせる改正EU規則案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続に入る。
【参考】【EU】欧州委、EUDRの適用1年延期を提案。「低リスク国」も大半に。実効性確保へ(2024年10月7日)
同規則は、パーム油、牛(牛肉・牛皮革等)、木材(紙パルプ含む)、コーヒー、カカオ、ゴム、大豆及びそれらの関連製品を、EU市場に流通、提供、輸出する全事業者、貿易業者に対し、原材料の生産地までトレースするデューデリジェンスの実施を義務化するもの。義務化の適用対象は、EU市場に対象7品目を最初に流通、提供、輸出する事業者(オペレーター)と、すでにEU市場で流通している対象7品目を取り扱う流通事業者(トレーダー)。適用時期は2024年12月30日で、中小企業のトレーダーは2025年6月30日となっている。
欧州委員会は10月、適用時期を2025年12月30日、中小企業のトレーダーは2026年6月30日に延期する意向を発表。背景には、複数の「グローバル・パートナー」が、準備状況に繰り返し懸念を表明していることや、EU域内でも関係者の準備状況にもばらつきがあることを挙げた。一方、法の目的や中身に関しては後退させず貫徹する意思も語った。
今回の改正EU規則では、EUDR上で曖昧となっていた用語や概念の定義も明確化。EUDRによる国際協力の枠組も新たに盛り込んでいる。さらに、同EU規則では、「低リスク」の国からの輸入に対しては、リスク評価義務が原則免除されることになっており、「低リスク」の判断方法も明確化した。これにより多くの国が「低リスク」に分類されることが決まり、企業のデューデリジェンスが簡素化されることとなった。国別分類(国別ベンチマーク制度)は2025年6月30日までに最終決定する予定。
【参照ページ】Commission welcomes provisional agreement on additional phase-in time for EU Deforestation Regulation
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら