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【アメリカ】連邦控訴裁、ナスダックの取締役ダイバーシティ・ルールに違法判決。原告勝訴

 米第5巡回連邦控訴裁判所は12月11日、米反DEI団体Alliance for Fair Board RecruitmentとNational Center for Public Policy Researchが米証券取引委員会(SEC)を相手取り起こした裁判で、SECが2021年に取締役ダイバーシティに関するナスダックの2つの上場規則を承認したのは誤りとの判決を、賛成9、反対9の僅差で下し、一審判決を棄却した。ナスダック側は対応を余儀なくされる形となった。

【参考】【アメリカ】ナスダック、ジェンダーや人種観点でダイバーシティ取締役2人以上の任命義務化へ。SEC申請(2020年12月7日)

 ナスダックの上場規則では、上場する全企業に対し、ジェンダーと人種の観点から取締役ダイバーシティに関する一貫性のあるデータ情報開示を義務化。さらに、ほぼ全ての上場企業に対し、女性と自己認識する取締役を1人以上、また人種マイノリティもしくはLGBTQ+を自己認識する取締役を1人以上任命することも「Comply or Explain」原則で義務化している。

 今回、同裁判所は 米行政法の法解釈原則として裁判所判例により確立している「major questions」原則を適用。同原則は、連邦議会が政治的・経済的に重大な問題を行政機関に委任していないというもので、SECの判断は越権行為と認定した。

 SECとナスダックは、裁判の中で、米取引所法が「完全開示」という考え方を重視しており、証券取引所に上場企業への開示義務を課す権限が与えられていると主張していた。しかし、同裁判所は、多数派の意見書の中で、開示はそれ自体を「革新的目的」としているのではなく、「完全開示の哲学をcaveat emptorの哲学に置き換え、証券業界におけるビジネス倫理の高い水準を達成すること」と解釈。同裁判所は、開示規則が法の目的に合致するのは、詐欺、投機、その他の関連する損害などの問題に対処する場合に限られると結論づけ、会社が取締役の人種、性別、LGTBQ+の特性に関する情報開示を拒否することは非倫理的ではないと判断した。

 同裁判所は、全米で最も保守的な連邦控訴裁判所のひとつとして知られている。同裁判では、Airbnb、マイクロソフト、スターバックス等のナスダック上場企業の連合は、SECとナスダック側を支持する準備書面を提出。反対に、20を超える共和党州の検事総長は、原告側を支持し、ナスダックのルールを認めたSECを違法とする準備書面を提出していた。

 同裁判所では2023年、民主党大統領時代に任命されたリベラル派の裁判官3人による小法廷裁判で被告側勝訴の判決を下していたが、原告側が不服とし、大法廷での再審理を求める訴えを起こし、今回の逆転判決につながった。

 今回の判決を受け、ナスダックは、上告を求めない考え。SECは、まだ考えを明確にはしていない。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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