
米通商代表部(USTR)は2月21日、中国の海運業に対する通商法第301条に基づく調査案を公表。3月24日までパブリックコメントを募集する。米国船による米国海運を復権させるため、中国海運や中国建造船の利用に一定の課徴金や制限を課す考え。
中国の造船・海運セクターは、国際プレゼンスが非常に大きくなっている。中国の造船市場シェアは、1999年には世界のトン数の5%未満だったが、2023年には50%以上。輸送用コンテナで95%、複合一貫輸送用シャーシで86%という市場シェアも確保している。
米国では、2024年3月、全米鉄鋼・製紙・林業・ゴム・製造・エネルギー・関連産業・サービス労働組合AFL-CIO CLC(USW)、国際機械工・航空宇宙労働組合(IAM)、国際ボイラー技師・鉄船建造者・鍛冶屋・ヘルパー労働組合AFL-CIO/CLC(IBB)、国際電気労働組合(IBEW)、AFL-CIO海事労働部(MTD)の5つの全国労働組合が、中国が海運、物流、造船の各セクターを支配しようとする行為、政策、慣行について調査を求める302条上の請願書をUSTRに提出している。
USTRは同4月に調査を開始。一方、中国政府は協議要請を拒否した。USTRは、前バイデン政権中の最終局面の1月16日に、中国の覇権主義は外国企業を締め出し、市場志向の企業と労働者から商機を奪い、競争を低下させ、中国への依存を生み出し、リスクを増大させ、サプライチェーンの弾力性を低下させるため、不合理との判断を下している。また、中国政府の覇権目標は、自国の経済主体や各セクターを異常に支配しているため不合理であるとも判断している。これにより通商法に基づき、USTRは第301条に基づく対抗措置を発動することとなった。
今回提示した対抗措置案は、まず、中国海運事業者に対する国際海運サービス料として、運航者事業者の船舶が米国の港に入港するごとに、100万米ドルを上限とする料金、もしくは容積1t当たり1,000米ドルを上限とする料金を徴収する。
次に、中国製船舶を保有する海運事業者へのサービス料として、150万米ドルを上限とする料金、もしくは中国船籍の船舶が船隊の25%以上50%未満を占める事業者に対しては、米国1隻につき100万米ドルを上限とする料金を徴収する。さらに海運事業者の船隊に占める中国製船舶の割合が25%以上の場合、米国入港1隻につき100万米ドルの追加サービス料を徴収する。
また、中国船発注予定の海運事業者にもサービス料を課す。中国造船所への船舶発注(今後24ヶ月間に中国造船所から引き渡される見込みの船舶含む)が50%以上ある事業者には、米国入港1件につき最高100万米ドル。同比率が25%以上50%未満の事業者には、米国入港1件につき最高75万米ドル。同比率が0%超25%未満米国入港1件につき最高50万米ドルを徴収する。別のオプションとしては、同比率が25%以上の事業者に、米国港への船舶入港1件につき最高100万米ドルを徴収する。
但し、サービス料徴収の対象となった事業者は、国際海上輸送サービスを提供している米国建造船の米国入港1回につき100万米ドルを上限として払い戻される内容も盛り込んだ。米国建造船の利用インセンティブをつける狙い。
米国製品の輸出のための海運にも制限を課し、資本財、消費財、農産物、化学製品、石油製品、ガス製品等、全ての米国貨物を対象に、米国籍船かつ米国企業運航の海運の比率を引き上げることを義務化する。比率は、同ルール発効日から年間で1%以上、2年後から3%以上、3年後から米国籍船で5%以上(そのうち米国企業運航の米国籍船もしくは米国建造船が3%以上)、7年後から15%以上(米国企業運航の米国籍船もしくは米国建造船が5%以上)に段階的に引き上げられる。但し、米国製品の20%以上を、米国船籍もしくは米国建造船で輸出されることを証明すれば、非米国建造船での輸出が承認される場合もある。
USTRは、3月24日に国際貿易委員会で、措置案に関する公聴会を開催する。
【参照ページ】USTR Seeks Public Comment on Proposed Actions in Section 301 Investigation of China’s Targeting of the Maritime, Logistics, and Shipbuilding Sectors for Dominance
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