
欧州委員会は4月1日、廃車(ELV)リサイクルで、自動車大手16社と欧州自動車工業会(ACEA)がカルテルを行ったと認定。総額4億5,800万ユーロ(約740億円)の制裁金を科した。違法行為関与期間は、2002年から2017年だが、各社によって多少期間のばらつきがある。
EUでのELV政策では、カーボンニュートラルの実現と資源リサイクル促進の2つを目的とし、金属、プラスチック、ガラス等の重要原材料を回収することを自動車メーカーに求めている。特に、ELV指令では、車の廃棄時のコスト負担は、車の所有者ではなく、自動車メーカーが負うことを義務化しており、消費者には新車のリサイクル性能についての情報提供も義務付けている。
欧州委員会は今回、廃車リサイクルの実態調査を実施。結果、自動車大手16社とCEAが、15年以上にわたり、ELVリサイクルに関連した反競争的協定を締結していたことを明らかにした。
具体的には、2つの行為がカルテルとみなされた。まず、ELVを処理する際に自動車解体事業者に代金を支払わないことで合意。特に、ELVリサイクルは十分に利益を生む事業であると考え、自動車解体事業者に報酬を支払わない「ゼロ処理コスト戦略」で合意していた。また、自動車解体事業者との個々の契約に関する商業上機密の情報を共有し、解体事業者に対する行動を調整していた。
2つ目は、ELVリサイクル、回収、再利用の状況や、新車での再生素材活用に関するPRを自粛することで合意。消費者が自動車を選ぶ際にリサイクル情報を考慮することを防ぎ、企業に対する法的要件以上の圧力を低下させる調整を行っていた。
カルテルと認定された自動車大手は、フォルクスワーゲン、BMW、メルセデス・ベンツ、ステランティス、ルノー日産自動車連合、ジャガー・ランドローバー、オペル、ボルボ、トヨタ自動車、本田技研工業、三菱自動車、マツダ、スズキ、現代自動車、フォード、GMの16社。そのうちメルセデス・ベンツに関しては、2019年9月にカルテルの事実を欧州委員会に伝えたことで、リーニエンシー制度が適用され、3,500万ユーロの制裁金がゼロとなった。また、ステランティス(オペルを含む)、三菱自動車、フォードも、リーニエンシー制度に基づき、2022年3月の調査後に申請したことで、制裁金が減額された。
制裁金は、フォルクスワーゲンが1億2,800万ユーロ、ルノー日産自動車連合が8,100万ユーロ、ステランティスが7,500万ユーロ、フォードが4,500万ユーロ、GMが3,100万ユーロ、BMWが2,500万ユーロ、トヨタ自動車が2,400万ユーロ、オペルが2,500万ユーロ(そのうちGM負担が1,400万ユーロ)、現代自動車が1,200万ユーロ等。本田技研工業、マツダ、スズキは500万ユーロ台、三菱自動車は400万ユーロ台。
今回の処分では、英競争・市場庁(CMA)も同様に英国の競争法違反を認定した。また、カルテル行為で損害を被った民事責任については、民事裁判で争われる可能性も残っている。
【参照ページ】Commission fines car manufacturers and association €458 million over end-of-life vehicles recycling cartel
無料会員に登録すると、
有料記事の「閲覧チケット」を毎月1枚プレゼント。
登録後、すぐにご希望の有料記事の閲覧が可能です。
無料登録してチケットを受け取る
【無料会員向け】有料記事の閲覧チケットの詳細はこちら
または
有料会員プランで
企業内の情報収集を効率化
- 2000本近い最新有料記事が読み放題
- 有料会員継続率98%の高い満足度
- 有料会員の役職者比率46%
有料会員プランに登録する