
米ドナルド・トランプ大統領は5月12日、薬価引下げを指示する大統領令に署名した。米通商代表(USTR)と商務長官に対し、外国が意図的かつ不当に市場価格を引き下げ、米国内での価格上昇を促すような行為を行っていないことを確認するための行動をとるよう命じた。
トランプ大統領は、1月の2期目の大統領就任時から、インフレ対策の一環として、薬価引下げ政策を表明。今回具体的な内容が明らかとなった。またトランプ大統領は5月、安全保障の観点から、医薬品の国内生産を促進する大統領令にも署名している。
【参考】【アメリカ】トランプ大統領、医薬品の国内生産促進指示。懸念国での遺伝子研究支援中止も(2025年5月8日)
今回の大統領令では、世界の医薬品メーカーの利益の約75%を米国が生み出していると指摘し、米国内で薬価を約3倍に引上げ、米国外で不当廉売を生み出している構造があるとの見方を伝えた。また、医薬品メーカーは、米国内での薬価引上げだけでなく、国立衛生研究所等から研究開発助成金や、連邦及び州の医療プログラムを通じた処方薬消費によっても恩恵を受けていると強調した。
それを受け、同大統領令は、米国内外での薬価の内外価格差に着目。保健福祉長官に対し、米国内で医薬品を購入する際、製薬会社と保険会社の間を取り持つ仲介業者「薬剤給付管理(PBM)」を介さず、医薬品メーカーから直接「最恵国価格」で購入できる仕組みを確立するよう指示した。
「最恵国価格」の設定では、国内政策担当大統領補佐官やメディケア・メディケイド・サービスセンター長と協議したうえで、保健福祉長官が今後30日以内に製薬メーカーに伝達する。伝達した内容に基づく薬価引下げを製薬メーカーが実行しない場合には、法律の範囲内で、保健福祉長官が最恵国価格を強制的措置を発動する。
強制的措置では、まず、保健福祉長官は、最恵国価格を課すための規則制定計画を提案。さらに、連邦食品・医薬品・化粧品法(FDCA)に基づく輸入差止めを発令する。司法長官と連邦取引委員会(FTC)委員長は、競争法上の強制措置を発令。商務長官は、世界的な価格差別を助長している可能性のある医薬品または前駆物質の輸出に関し、あらゆる必要な措置を検討する。食品医薬品局(FDA)長官は、医薬品の認可取消も検討する。
一方、国内生産医薬品の薬価引下げについては、今回薬価引下げ政策の対象としなかった。これを受け、医薬品メーカーの間では最悪の事態は避けられたとの見方もある。
【参照ページ】Fact Sheet: President Donald J. Trump Announces Actions to Put American Patients First by Lowering Drug Prices and Stopping Foreign Free-riding on American Pharmaceutical Innovation
【参照ページ】DELIVERING MOST-FAVORED-NATION PRESCRIPTION DRUG PRICING TO AMERICAN PATIENTS
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