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【アメリカ・EU】関税交渉で合意。自動車や半導体の関税引下げへ。CSDDD等にも影響

【アメリカ・EU】関税交渉で合意。自動車や半導体の関税引下げへ。CSDDD等にも影響 2

 米国とEUは8月21日、米国の対EU関税を含め、相互・公正かつ均衡のとれた貿易に関する枠組合意で共同声明を発表した。EUが米国側の通商上の懸念を認識し、貿易不均衡の解決と両者の経済力の潜在能力を最大限に引き出すための共同の決意を示した。

【参考】【アメリカ】政府、相互関税率決定。日本、韓国、EU15%。ブラジル10%、インド25%。8月7日適用(2025年8月1日)

 今回の合意では、米国は、EUの輸出原産品に対し、米国最恵国待遇(MFN)関税率が15%以下の場合は関税率は15%に、15%より高い場合はMFN関税率を適用。さらに、2025年9月1日から、米国は、米国内で入手不能な天然資源(コルク含む)、全ての航空機お及び航空機部品、ジェネリック医薬品とその原料や前駆体に対しては、MFN関税率のみを適用し、相互関税を課さないことでも合意した。さらに、米国とEUは、両国の経済及びサプライチェーンにとって重要な他の分野でも相互関税率を課さない品目リストを検討していくことでも合意した。

 さらに米国は、自動車・自動車部品関税に関し、EUが同合意で定める関税引下げを実現するためのEU法案をEU立法府に提出した場合には、最恵国待遇(MFN)関税率が15%以上のEU製品には相互関税を課さず、15%未満の場合には15%の関税とすることでも合意した。EUと米国に拠点を置く自動車関連の基準策定機関間の技術協力の機会を拡大することでも一致した。

 EUの医薬品、半導体と木材に対しては、関税率を最大15%に抑えることでも合意。鉄鋼・アルミニウム関税では、引き続き協力の可能性を探るとした。

 一方EUは、全ての米国産工業製品に対する関税を撤廃。米国産水産物及び農産物(ナッツ類、乳製品、新鮮な果物・野菜、加工果物・野菜、加工食品、種苗、大豆油、豚肉およびバイソン肉を含む)に対し、優遇市場アクセスも提供する。2020年8月21日に発表された米EU関税合意も延長する。

 さらにEUは、2028年までに米国産の液化天然ガス(LNG)、石油、原子力エネルギー製品を7,500億米ドル、自国のデータセンター向けに、米国製半導体を400億米ドル以上購入する意向も表明。加えて、米国とEUは協力し、米国の技術セキュリティ要件に準拠した技術セキュリティ要件を採用・維持し、懸念のある目的地への技術流出を回避するための協調行動を採ることでも合意した。その上、EU企業は、2028年までに、米国の戦略的分野に6,000億米ドルの追加投資を行う予定とした。米国産の武器の調達も大幅に増やす。

 EUのサステナビリティ関連規制に関しても、米国側の懸念に対し、対処方針を決めた。EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)については、米国の中小企業への悪影響を避けるため、デミニマスルールの例外適用を実施する等、CBAMの実施において追加の柔軟性を提供するよう努める。EUの企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)については、中小企業を含む企業の事務負担を軽減するための努力を行うことと、デューデリジェンスの失敗に関する調和された民事責任制度の要件および気候変動移行に関連する義務規定を変更することで一定の合意がみられた。企業サステナビリティ報告指令(CSRD)についても、「大西洋横断貿易に不当な制限を課さないよう、努力を講じることを約束する」とした。森林劣化・森林破壊規則(EUDR)については、米国領土内での関連商品の生産で森林破壊リスクが極めて低いことをEUが認識するよう努める。

 デジタル分野でも、両者は、不当なデジタル貿易障壁に対処することを約束。特にEUは、ネットワーク使用料を課さないことを確認し、米国とEUともに、電子送信に課税しないことでも一致した。サイバーセキュリティ相互承認協定の締結交渉も進め、米国のサイバーセキュリティ関連機器が、EU域内でスムーズに販売できるようにする体制整備も行う。

【参照ページ】Joint Statement on a United States-European Union framework on an agreement on reciprocal, fair and balanced trade

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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