
欧州委員会は9月3日、EUの次期長期予算枠組みとなる2028年から2034年の「複数年財政枠組み(MFF)」の第2弾パッケージ案を採択した。7月に採択された第1弾パッケージ案と今回の第2弾パッケージ案は、EU理事会が全会一致で可決し、欧州議会の同意が得られると成立する。
EUは、7カ年の長期予算枠組みを運用しており、今回の予算規模は約2兆ユーロ(約350兆円)で、2028年から2034年までのEUの国民総所得平均の1.26%に相当する。この資金は欧州委員会が掲げる戦略的分野に投じられる。
産業分野では、EU経済の競争力を高めるため、クリーン移行・脱炭素化、デジタル移行、健康・バイオテクノロジー・農業・バイオエコノミー、防衛・宇宙の4分野に焦点を当てる。特に防衛・宇宙向けは、前7カ年比で5倍の1,310億ユーロに増額される。民間資金を呼び込むことで、支出される1ユーロ当たりの効果を最大化する。予算プログラムでは、Horizon Europeと競争力基金が柱となる。
民生分野では、レジリエンスを強化。「準備態勢連合」政策への予算を確保し、危機管理の全段階(予防から対応、復興まで)に備える。また欧州委員会は、深刻な危機が発生した際に発動される加盟国向け融資枠最大約4000億ユーロの新規専用危機メカニズムを提案。さらに、国家・地域パートナーシップがあらゆる分野の危機対応準備と危機管理における投資・改革を支援できる制度も設ける。他にも、人材スキルへの投資拡大、社会的インクルージョン、世代間の公平性の促進、貧困対策等に予算を投下する。
農業分野では、農家向けのレジリエンス強化のため、農業予備基金を用意。さらに、農家環境対策・農場内投資・若手農家支援・リスク管理ツール等の分野は特別枠として予算を確保。農業及び農村地域向けの資金提供ルールは、支払、管理、監査を含め簡素化される。
移民管理向けには、前7カ年比で3倍の340億ユーロにまで拡大。EU加盟国の法執行能力を強化し、国境警備隊に外部国境保護のための適切な装備を提供。移民・難民に関する協定に基づく公正かつ確固たる移民管理システムを実施することも支援する。
EU外交関連では、2000億ユーロ規模で「グローバル・ヨーロッパ・インスツルメント」を創設。世界各地での影響力を最大化し、パートナー国におけるEU対外行動の可視性を向上させる。EUの新規加盟候補国の対策費として150億ユーロの専用予備資金も確保する。ウクライナには、同7カ年中に最大1000億ユーロが動員される可能性があるとした。
【参照ページ】An ambitious budget for a stronger Europe: 2028-2034
【参照ページ】Commission completes proposal for the 2028-2034 EU long-term budget
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