
環境省は9月15日、廃棄物処理法施行規則を改正した。2024年度能登半島地震等で非常災害廃棄物を迅速に処理できない制度上・実務上の課題があることが判明したことを踏まえ、地方自治体と廃棄物処理業者等との連携を強化する。
日本では、2011年の東日本大震災で、災害廃棄物約2千万t、津波堆積物約1千万t発生。また、南海トラフ巨大地震では、最大で災害廃棄物が約3億2,000万t、津波堆積物が約3,000万t、首都直下地震では、最大で災害廃棄物が約1億1,000万t発生すると推計されている。
災害により発生した瓦礫や被災住宅、公費解体廃棄物等の災害廃棄物は、一般廃棄物として市町村が第一義的な処理主体となる。実際の作業は民間事業者への委託、他の地方自治体からの応援、都道府県による調整、広域処理等で行われることも。東日本大震災を経て、2015年に改正された廃棄物処理法と災害対策基本法では、大規模災害に政令指定され、対象地域が廃棄物処理特例地域に指定され、被災市町村から要請があった場合に限り、環境大臣が市町村に代わって災害廃棄物の収集・運搬・処分を実施できるようになったが、それ以外は国は補助金、技術支援、制度上の特例等で後方支援のみをすることになっている。
また、被災した事業所の設備、商品、建物残骸については、発生原因、品目、誰が解体したかなどで、産業廃棄物として事業者が処理主体になる場合と、一般廃棄物として市町村が処理主体になる場合にわかれる。さらに市町村により、生活環境保全上必要な場合に事業系災害廃棄物を仮置場で一時的に受け入れるなどの特例を設けることもある。
令和6年能登半島地震の他、過去の熊本地震、西日本豪雨、東日本台風等の「非常災害」では、市町村による災害廃棄物の処理が迅速に進まないことが課題となっていた。災害廃棄物処理計画の策定率は都道府県では100%となった一方、市町村では86%にとどまり、策定済みの計画でも、仮置場候補地、水害時の被害想定、民間業者との協定等が十分に盛り込まれていないことが多い。さらに、市町村に人手や専門的ノウハウが不足していたり、民間最終処分場の処理能力を非常時に確保できないという課題も出てきていた。
そこで、2026年4月の廃棄物処理法改正では、非常災害廃棄物に係る平時からの備えとして、市町村に対し、災害廃棄物処理計画の策定を義務化。地方自治体と事業者との間の災害支援協定も努力義務化された。災害廃棄物を受け入れる最終処分場を平時から確保するため、平時から都道府県が最終処分場を指定する制度も創設された。災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理のため、2015年の改正では災害廃棄物処理の再委託を可能としていたが、今回の改正では再々委託まで可能となった。さらに、環境省が所管する中間貯蔵・環境安全事業株式会社の事業範囲に非常災害廃棄物関連事業を追加し、地方自治体に対する専門的支援を担えるようにした。
今回の施行規則改正では、都道府県や市町村が、廃棄物処理業者や他の地方自治体と締結する協定の記載事項に係る規定が新設された。都道府県による非常災害廃棄物最終処分場の指定制度に関する手続や基準も整備された。さらに、産業廃棄物処理施設において処理する産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物を処理する場合、都道府県知事に届け出ることで、設置許可を受けることなく当該処理施設を一般廃棄物処理施設として設置できる制度についても、廃プラスチック類やゴムくず等の安定型産業廃棄物と同様の性状を有する非常災害廃棄物に由来する一般廃棄物が追加された。
また別途、2026年4月の同法改正では、金属やプラスチック等の再生・保管を行うスクラップヤードの一部で、騒音、悪臭、水質・土壌汚染、火災等が発生していることや、不適切なスクラップヤードを経由した金属資源等の海外流出も問題となっていることから、金属やプラスチック等のスクラップヤード事業については、都道府県による許可制が導入された。また、許可業者は保管・再生基準の遵守が義務付けられ、違反した場合は改善命令や措置命令、罰則が科される。さらに、環境汚染のおそれがある物品を輸出する際は、事前に環境大臣の確認が必要にもなった。
【参照ページ】廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布等について
【参照ページ】「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案」の閣議決定について
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