
欧州委員会とEU共通外交・安全保障政策担当上級代表(EU外相)は7月16日、発展途上国に対する一般特恵関税制度(GSP)の現状に関する共同報告書を公表した。同制度が対象となる発展途上国の持続可能な発展を促していると結論づけた。
【参考】【EU】一般特恵関税制度の改正規則成立。途上国に対し気候変動・人権の国際条約遵守強化(2026年5月25日)
GSPは、発展途上国によるEUへの輸出を支援するためのEUの主要な貿易政策手段。現在65カ国が対象となっており、低関税または無関税でEU市場へのアクセスを一方的に提供する一方、気候変動、生物多様性、人権等に関する国際基準の遵守を要求している。
今回の報告書は、2023年から2025年にかけてのGSPの実施状況と影響について、「標準GSP」「GSP+」「武器以外のすべて(EBA)」の3つの制度を取り上げている。標準GSPは、低所得国と下位中所得国に対し、全関税項目の3分の2について関税の一部または全額の撤廃を認める制度。GSP+は、さらに、人権、労働権、環境、良き統治(グッド・ガバナンス)に関する指定の国際条約を批准することを条件として、同3分の2の関税項目について完全な無関税アクセスを提供する制度。EBAは、後発発展途上国に限定し、武器および弾薬を除くすべての製品について、関税と輸入割当枠なしの市場アクセスを認める制度。
EUは2024年、GSPの特恵措置に基づき、約600億ユーロ(約11兆円)相当の商品を輸入し、パートナー国だけでなく、EUの輸入業者や消費者にも利益をもたらしたと評価。同時にGSPの受益国は特恵関税措置を受け、推定50億ユーロのコスト削減効果が得られたという。最大の受益者層は以前から後発発展途上国でEBA制度の下で、総額の30億ユーロ以上を享受した。全体として、バングラデシュ、インド、パキスタンがEBA制度の最大の受益国で、衣料品が最大のセクターを占め、GSP特恵を利用した全貿易の59%を占めた。
GSP+の対象国となっているボリビア、カーボベルデ、キルギス、モンゴル、パキスタン、フィリピン、スリランカ、ウズベキスタンの8カ国の多くは、人権に関する法整備や制度的枠組みを強化し、労働権の状況も改善。また気候変動対策及び環境保護を継続し、生物多様性や保護地域に関する法整備の強化も確認された。薬物規制および腐敗防止に関するグッドガバナンスでも多くの国で改善された。
一方、GSP+対象国では、人権において、司法の独立性の不足や、権利侵害や虐待に対する救済措置へのアクセスや説明責任の確保が不十分と評価。労働権に関しても、実施と執行は依然として不均一であり、労働監督機関はしばしば能力面の制約に直面しているとした。
またEUは7月15日、インドとの通商関係を強化し、2026年末までに貿易・技術理事会(TTC)を格上げすることで合意している。特にEUの研究開発予算である「Horizon Europe」へのインドの参加に関する正式な交渉を開始し、2026年末までに合意を締結することを合意。電気自動車(EV)の充電技術および試験に関する初の「EU印イノベーションハブ」の設立や、ディープテック・クリーン技術に焦点を当てた「EU印スタートアップパートナーシップ」の発足で一致した。また、半導体、高性能コンピューティング、量子技術、AI、6Gや、農業・食品、医薬品有効成分、クリーンエネルギー技術における強靭なバリューチェーンの構築でもパートナーシップを強化する。
【参照ページ】EU trade relations with developing countries continue to create sustainable economic growth
【参照ページ】EU and India strengthen strategic partnership with third Trade and Technology Council
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