
欧州委員会は7月12日、Xに対し、デジタルサービス法(DSA)違反の予備的見解を通知した。ダークパターン、広告の透明性、研究者のデータアクセスに違反があるとの認識を示した。デジタルサービス法では、複数社に違法性調査での情報提供要請が出ていたが、Xが予備的見解第1号となった。
【参考】【EU】デジタルサービス法(DSA)の全規則が2月17日に適用。デジタル広告や違法コンテンツ等を規制(2024年2月18日)
【参考】【EU】欧州委、19サービスを指定プラットフォーマーに指定。デジタルサービス法に基づく義務負う(2023年4月26日)
【参考】【EU】欧州委、デジタルサービス法違反の疑いでXへの公式調査開始。同ルールで初(2023年12月29日)
今回の事案の正式調査は、2023年12月18日に開始。違法コンテンツの拡散、情報操作、ダークパターン、広告の透明性、研究者のためのデータアクセスのリスクを軽減するための講じられた措置の有効性の評価を行ってきた。調査の過程では、内部告発制度も設けられ、同社の従業員やその他の知見を有する人々が匿名の方法で欧州委員会に連絡できるようにもしていた。
今回の予備的見解では、3つの内容についてDSA違反の疑いを通知した。まず、「青いチェックマーク」の付いた「認証済みアカウント」のインターフェースを、業界の慣例にそぐわない方法で設計・運用し、利用者を欺いていると判定。「認証済み」ステータスは、誰でも取得できるため、ユーザーがアカウントやコンテンツの信憑性について自由かつ十分な情報を得た上で判断する能力に悪影響を与える。悪意あるユーザーが、他のユーザーを欺くために「認証済みアカウント」を悪用している証拠もあるとした。
次に、検索可能で信頼できる広告リポジトリを提供しておらず、その代わりにリポジトリをユーザーに対する透明性の目的に適さない設計機能とアクセス障壁を設置し、広告に対して要求される透明性を遵守していないと判定。特に、オンライン上の広告配信によってもたらされる新たなリスクについて、当該設計仕様では、必要な監督や調査ができなくなっていると指摘した。
3つ目は、DSAが定める研究者への公開データ・アクセスが提供されていないと判定。特に、利用規約で、資格を有する研究者がスクレイピング等によってXの公開データに独自にアクセスすることを禁止していると指摘した。さらに、XのAPIへのアクセスを研究者に許可するプロセスは、研究者に研究プロジェクトの遂行を妨げるか、不当に高い料金を課すかを迫っていると思われるとした。
今回の予備的見解の通知を受け、Xは、欧州委員会の調査ファイル内の文書を閲覧し、欧州委員会の予備調査結果に対して書面で反論することができる。これと並行し、欧州委員会から、欧州デジタルサービス委員会への諮問も実施される。
欧州委員会の予備的見解が最終的に確認された場合、欧州委員会は、Xに対しDSA違反の最終決定を下すことになる。課徴金は、最大でXのグローバル年間総売上の6%。さらに、プラットフォームに遵守を強制するために、定期的な違約金の支払いを課すこともできる。同時に、違反に対処するための措置を講じるよう命じることができる。違反の是正に関する決定がなされた場合には、違反の是正のために講じられる措置が遵守されていることを確認するために、監査期間を延長することも可能。
【参照ページ】Commission sends preliminary findings to X for breach of the Digital Services Act
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