
英エネルギーデータ大手ブルームバーグNEF(BNEF)は10月3日、2050年カーボンニュートラルに向けてクリーンエネルギー導入に必要な鉱物・金属資源の需給を分析した報告書「Transition Metals Outlook(TMO)」の2024年版を発表した。
同報告書は、鉱業・金属業界向けに鉱物、金属の需給に関して分析したもの。過去10年間で金属の供給量は増加しているが、将来的に供給不足に陥りクリーンエネルギー技術の採用が遅れる可能性について警鐘を鳴らした。
同報告書では、2050年までにカーボンニュートラルを達成する「ネットゼロ・シナリオ(NZS)」と、2100年までに経済主導の移行のみを実現し、気温上昇を2.6℃に抑える「経済移行シナリオ(ETS)」の双方で分析。アルミニウム、銅、リチウム等のエネルギー転換に必要な主要金属が今後10年間で一次供給不足となる可能性を指摘した。
ETSでは、電気自動車(EV)、風力タービン、電解装置等のクリーンエネルギー技術の導入のために、2024年から2050年の間に世界で30億tの金属が必要となり、NZSでは2倍の60億tが必要となる。結果、2024年には鉄、アルミニウム、銅が、2025年にはリチウム、2026年にはNZSにおいてグラファイトが一次供給不足に陥る見通しだとした。
(出所)BNEF
一次供給不足を解消するには、リサイクルによる二次資源からの金属供給が不可欠。リサイクルをによってでライフサイクル全体での温室効果ガス排出量もさくできる。
また、需要の増加ペースは地域によって異なり、例えば、中国では2020年から2023年の間に需要が世界平均を上回ったが、2030年以降、需要は減少する見込み。他にも、2030年代は東南アジアでの需要が大幅に増加するため、同地域でのサプライチェーン上流工程において付加価値を加えることで工業化を加速させ、世界の需要を満たすと共に、温室効果ガス排出量削減を実現できると訴えた。
(出所)BNEF
【参照ページ】Mining Industry Needs $2.1 Trillion Dollars in New Investment by 2050 to Meet Net-Zero Demand for Raw Materials, Finds BloombergNEF in New Report
【参照ページ】Transition Metals Outlook 2024
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