
中小企業庁と公正取引委員会は12月22日、車体整備事業者との取引で下請代金支払遅延等防止法の違反被疑行為があったとし、自動車ディーラー2社に勧告、160社に指導を行った。4月以降、自動車ディーラーと車体整備事業者間の修理委託取引に関する下請法違反被疑行為を集中的に調査していた。
自動車ディーラーと車体整備事業者間の修理委託取引では、自動車オーナーからの依頼を自動車ディーラーが受領し、それを車体整備事業者に受託する形で主に発生している。修理代金は損害保険会社から支払われることが多いが、損害保険会社は直接の当事者とはなっていない。
今回の集中調査では、主に4つの違反被疑事例が確認された。まず、自動車ディーラーが車体整備事業者に対して修理委託を口頭発注しており、取引条件を記載した発注書面等を交付していなかったという義務違反。発注書面に代金の額を記載していなかった記載不備の事例もあった。
次に、修理代金の支払に損害保険が適用される取引において、自動車ディーラーが、車体整備事業者と損害保険会社の間で修理代金に係る交渉が難航して代金の決定に時間を要したこと等を理由に、代金を支払期日までに支払っていなかった事例が複数あった。
3つ目が買いたたき。コスト上昇等により車体整備事業者のコストが増えたことが明らかな場合においても、要請がなかった車体整備事業者に対しては協議をすることなく、代金を据え置いていた事例が複数あった。協議に応じてレバーレート(1時間当たりの基本工賃)を引き下げる等の修理代金を変更していても、自動車ディーラーが一方的に一律に自社分の利益として一定率を乗じて得た額を差し引く行為もあった。
最後に無償での要求行為。自動車の車体整備事業者の工場等への引取りや、修理部品の引取りや修理後の不要部品の廃棄、車体整備事業者に無償で代車となる自動車を提供させていた事例も複数あった。
中小企業庁と公正取引委員会は今回、2026年1月1日から改正下請法として取適法が施行されることを踏まえ、不当な業界慣行に関する注意喚起を行った。
【参照ページ】自動車ディーラー及び車体整備事業者間の取引における下請法違反被疑事件の集中調査の結果を公表します
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