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【国際】石炭火力の水銀高排出設備、9割超がインド。清華大学やNASA等の研究チーム論文

【国際】石炭火力の水銀高排出設備、9割超がインド。清華大学やNASA等の研究チーム論文 3

 中国の清華大学、米カリフォルニア大学アーバイン校、米航空宇宙局(NASA)等の国際研究チームは7月24日、世界の石炭火力発電設備による水銀排出量を設備単位で分析した論文を発表。排出量が特に多い「スーパーエミッター」が2020年には新興国に集中し、特にインドに特定された高排出設備の90%以上が集中していることを明らかにした。

 水銀は、生物濃縮、長距離移動、毒性、環境中での残留性を有し、人の健康や生態系に深刻な影響を及ぼす。石炭火力発電は、2005年から2015年までの世界の人為起源大気中水銀排出量の5%から25%を占めたと推定されている。一方、脱硫、脱硝、煤塵除去等の大気汚染防止設備には、水銀を同時に除去する効果がある。

 研究チームは、世界の石炭火力発電設備について1990年から2020年までの水銀排出インベントリを構築。設備容量、石炭消費量、石炭中の水銀含有量、排ガス処理設備、水銀除去効率等を基に、元素状水銀、酸化水銀、粒子状水銀の排出量を推計した。さらに、設備稼働率、大気汚染防止設備の更新、新設容量、廃止容量の4要因に排出量変化を分解し、2060年までの削減シナリオを分析した。論文は、学術誌Nature Communicationsに掲載された。

 同研究では、各地域内で石炭火力発電設備を水銀排出原単位の高い順に並べ、各国の水銀総排出量のうち上位10%を占める設備をスーパーエミッターと定義。スーパーエミッターが占める発電容量の割合は、地域により0.4%から6.6%にとどまり、大半が100MW未満の小規模設備だった。水銀排出が、一部の高排出設備に著しく集中している構造が示された。

 地域別では、米国と欧州で1990年から2020年までに石炭火力設備の廃止と排ガス処理設備の高度化が進展。米国では設備規模毎の水銀排出量が85.9%から96.7%減少した。一方、インドやその他のアジア地域では、小規模設備だけでなく新設された大型設備からの排出も増加した。2020年時点で世界平均を上回る排出原単位の発電所の約半数がインドにあり、特定されたスーパーエミッターの90%以上も同国に集中していた。

 将来の削減策では、排出性能の低い設備を優先して廃止する戦略が、多くの国で短期的かつ費用対効果の高い削減策になると分析した。さらに、既存設備を各地域の利用可能な最良技術(BAT)に更新した場合、インドでは2020年から2060年までの累積水銀排出量を、気温上昇を2℃未満に抑えるSSP1-2.6シナリオで68.2%、1.5℃目標に近いSSP1-1.9シナリオで58.7%削減できると推計した。インドの石炭火力設備の80%以上が、現時点で地域のBATを導入していないことが背景にある。

 但し、排ガス処理設備の高度化と高排出設備の廃止だけでは、長期的な大幅削減には限界がある。SSP1-2.6シナリオでは、BATを全面導入しても2060年の年間排出量はインドで2t、中国で3.9t残ると推計。水銀専用技術である活性炭注入(ACI)を適用可能な全設備に導入した場合、年間排出量をインドで1t、中国で0.5tまで削減できるとした。研究チームは、短期的にはスーパーエミッターの優先廃止とBAT導入、長期的には水銀専用技術の導入と石炭火力発電の段階的廃止を組み合わせる必要があると結論付けた。

 今回の推計には、地域毎の実測データ不足や石炭中の水銀含有量、排ガス処理設備の実際の除去効率等に不確実性がある。また、水銀専用技術ではACIのみを分析し、ハロゲン注入等の代替技術は対象外とした。将来の石炭火力需要の予測にも単一の統合評価モデルを使用しており、研究チームは、設備単位の実測データ拡充が必要としている。

【参照ページ】Unit-level assessment of mitigation pathways for mercury emissions from the global coal power fleet

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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