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【国際】世界大手250社のCO2排出報告に大きな改善余地。KPMG調査

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 グローバルアカウンティングファームのKPMGが11月25日に発行した調査報告書、"Currents of change: The KPMG Survey of Corporate Responsibility Reporting 2015"によると、世界大手企業250社(以下、G250)によるCO2排出量の報告は全体として一貫性を欠いており、各社の成果の正確な比較が非常に難しいことが分かった。

 KPMGの専門家らがG250のアニュアルレポート・CR報告書を調査したところ、全体の80%がCO2排出について報告を実施しているものの、情報の種類や質は非常に多様だった。CO2削減目標について触れているのは全体の53%で、かつその3分の2がその目標値を設定した合理的な理由については説明していなかった。

 また、報告されている排出の範囲にもばらつきがあり、大多数が自社の業務によるもの(84%)や購入電力に依拠するもの(79%)については報告しているものの、サプライチェーン上の排出量も報告している企業は50%にとどまった。さらに、自社の製品やサービスの使用・廃棄により発生した排出量まで記載している企業はわずか7%に過ぎなかった。

 さらに、ばらつきはデータの客観性についても同様で、CO2排出量について報告している企業のうちCDPのデータベースなど外部機関による詳細な調査データを併記しているのは51%で、残りは自社のデータのみを報告していた。

 ほか、報告書内で挙げられている全体の傾向としては、石炭採掘、建設、化学業界などCO2排出量が多い業界においては5社中1社の割合で報告書の中で排出量について触れていないことが分かった。さらに、地域別に見てみるとヨーロッパ企業の報告の質は他地域よりも優れており、業界別で見ると輸送、レジャー業界は報告の質が最も高く、石油・ガス産業が最も低いことが分かった。なお、CO2排出量を報告している企業のうち、排出量の削減がどのように自社に利益をもたらしているかについても説明している企業は半数に過ぎなかった。

 同報告書では、KPMGが推奨している、企業がCO2排出量に関する情報をアニュアルレポートやCR報告書の中で開示する際に従うべきデータや目標、コミュニケーションに関するガイドラインも提示されている。

 情報開示の対象となるステークホルダーにとっては、各社の報告する情報やデータに基づいて何らかの意思決定を行う際、それらの情報やデータの比較しやすさも非常に重要な要素となってくる。

 現在世界ではClimate Standards Disclosure Board(CDSB)が企業による気候変動情報開示の標準化を目指してグローバルな報告フレームワークを構築し、財務報告書における気候変動情報の開示の促進に取り組んでいるが、今回のKPMGの調査からは改めてCO2排出の報告における現状の課題が浮き彫りになった形だ。

【レポートダウンロード】Currents of change: The KPMG Survey of Corporate Responsibility Reporting 2015
【参照リリース】Corporate Carbon Reporting Needs Overhaul:KPMG Global Study
【企業サイト】KPMG

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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