米労働省(DOL)は6月23日、ESG投資とフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)に関する新規制案を発表した。労働省は、企業年金基金を所管しており、今回の新ルールは、従業員退職所得保障法(エリサ法)に基づく解釈に関する内容となっている。
同省は今回、同省が発表していた複数のガイダンスでの記載内容に混乱がみられるとし、今回統一的な見解を示す形でルールを制定する考え。
今回発表の新規制案で、確定給付金型の企業年金基金に対し、ESG投資についてはリスク調整後リターンを向上させる場合のみ許容されることを明確にすることに加え、同等のリスク調整後リターンが期待される他の純粋財務投資(truly economically “indistinguishable” investments)と比較して、ESGファクターを考慮したほうがリスク調整後リターンが上がることを証明する特別な報告書作成を義務化する内容を盛り込む考え。
また、確定拠出年金制度の場合には、ESGを追求するファンドを運用銘柄候補に入れるための要件も明確にした。その中で、ESGテーマファンドは、財務パフォーマンス以外のものを考慮していることを理由に、デフォルトの運用手法として採用することを禁止するという内容を盛り込んだ。
今回の新規制案に対し、国連責任投資原則(PRI)は、企業年金基金のESG投資に混乱を及ぼすと反発している。まず確定給付型の企業年金の規定については、追加の書類作成は、ESGインテグレーション型のESG投資の裁量を狭めてしまうことを懸念している模様。また確定拠出型の年金基金の規定については、ESGテーマファンドの財務パフォーマンスが低いとみなしデフォルト設定を禁止したことは、誤った判断と指摘した。
【参照ページ】U.S. DEPARTMENT OF LABOR PROPOSES NEW INVESTMENT DUTIES RULE
【参照ページ】Department of Labor’s Proposed Rule: Financial Factors in Selecting Plan Investments
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