サステナビリティレポートのフォーマット統一の動きが投資家サイドから始まってきた。世界各国の証券取引所が加盟する国際取引所連合(WFE)が2014年6月ワーキング・グループを立ち上げ、サステナビリティ関連情報の情報開示についての議論を開始した。それに呼応する形で、サステナビリティ関連のシンクタンクである米Ceresは、世界最大の資産運用会社BlackRockを含む期間投資家と共同で、企業のサステナビリティ報告についての統一基準案を国際取引所連合を通じて加盟証券取引所各社に提起した。
投資家サイドがサステナビリティ報告のフォーマット統一に向けて動き出した背景には、ESG投資についての関心の高まりが関係している。アメリカを代表する証券取引所NASDAQ OMXグループを率いるRobert Greifeld CEOは、「情報を規格化され比較可能なものとしていくために、世界中全ての証券取引所が共同歩調を取る必要がある。いずれの証券取引所も遅れを取るような状況にはしない。」と、ESG情報を含めた銘柄情報の規格化が投資家にとって重要性を増している市場環境を語った。実際に、NASDAQ OMXグループは過去2年、Ceresとの間で合同研究を進めてきた。今回、Ceresが発表した統一基準案「Investor Listing Standards Proposal: Recommendations for Stock Exchange Requirements on Corporate Sustainability Reporting」は、Ceresに参画している6大陸100以上の機関投資家との共同提案でもあり、証券取引所、機関投資家、ESGシンクタンクが三位一体となって、企業側へのESG情報開示ルールを作る構造が浮かび上がってくる。Ceresは、すでにサステナビリティレポートのデファクトスタンダードとなっているGRIを主導する役割も果たしており、GRIの取り組みを発展させ、情報開示をさらに進めていこうという今回のCeresのアプローチに、GRIのErnst Ligteringen代表も大きな期待を寄せている。
国際取引所連合には、東証、大証を運営する日本取引所グループも加盟しており、日本にもグローバルな流れに巻き込まれていくことになりそうだ。
【統一基準案】Investor Listing Standards Proposal
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