米国サンフランシスコに本拠を置くサステナビリティ・CSR人材専門のサーチファームのWeinreb Groupは10月27日、CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)に関する最新動向をまとめたレポート、”The Evolution of the Chief Sustainability Officer”を公表した。
同レポートによれば、CSOの責任範囲はここ数年で大きく変化しており、組織内部のプログラム管理にとどまらず、経営戦略や製品イノベーション機会の特定、企業内外におけるサステナビリティへの取り組みの指揮など、より企業戦略の要となる役割へと変わってきているという。今回のレポートの調査対象となったのは、米国に本社を置く上場企業にてCSOという肩書で働いている36人のエグゼクティブだ。
また、彼らがCSOに任命された際の平均勤続年数は約10年間で、86%のCSOは社内から抜擢されているという。Weinreb GroupのCEOを務めるEllen Weinreb氏は「今日では、CSOはサステナビリティを事業のあらゆる側面に拡大しており、特にイノベーションおよび外部ステークホルダーからのフィードバックが成長と価値創造につながっている」と語る。また、同氏によれば「この3年間で、CSOに占める女性の割合が2011年の28%から2014年の42%へと52%も増加している」とのことだ。
同レポートによると、この3年間でCSOの役割には大きく下記5つの変化が起こっているという。
組織全体としての利益
CSOの役割は単なる環境・社会活動の実行だけでなく、ステークホルダーと株主に同時に利益と価値を生み出すことに重点が置かれるようになってきている。
イノベーション
従来とは全く異なる基準が求められるサステナブルな製品や製造プロセスへの需要に答えるために、CSOはイノベーションの最先端にいる必要がある。
ステークホルダーとのコミュニケーション
CSOは様々なチャネルを通じて積極的に自社のサステナビリティへのコミットメントを伝えることに従事する必要があり、従業員など内部ステークホルダーだけではなく、顧客やメディアといった外部ステークホルダーに対してもサステナビリティ課題に関するコミュニケーションをとることが重要な役割となっている。
組織全体へのアクセス
組織内のヒエラルキーに関わらず、CSOはあらゆる階層の業務に関わり、部門横断で働くことが求められている。事業横断で従業員と協働するところから自社の核となるビジョンや戦略に影響を及ぼすところまでシームレスに動く必要がある。
チームスポーツ
CSOとしての成功は、組織全体を通じて複数のチームを注意深く指揮しながらエンゲージメントできるかどうかにかかっている。CSOはサステナビリティを事業のあらゆる側面に統合することで、各事業責任者にサステナビリティ目標達成に向けた権限を与えている。
上記のように、CSOに期待される役割は環境・社会活動プログラムの企画・運営だけではなく、より戦略性と協働性が高い業務へとシフトしてきている。
サステナビリティの企業戦略への統合からイノベーション機会の特定、組織内外ステークホルダーとのコミュニケーション、目標達成に向けた社内全体の巻き込みなど、CSOへ課せられる期待はとても幅広く、その一つ一つが大きなものだ。
また、こうしたCSOの役割の高度化とともに、CSOの女性比率が上がってきている点も興味深い。同レポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】The Evolution of the Chief Sustainability Officer
【企業サイト】Weinerb Group
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