【ドイツ】2ドルでTシャツを買える自動販売機。誰も買わない理由とは? 2015/05/10 最新ニュース

 自分が毎日着ている洋服は一体誰がどこで、どのような環境で作っているのか、皆さんはご存じだろうか?衣料業界のサプライチェーンの裏に潜む過酷な労働の現実を広く人々に認知させるべく、NPOのFashion Revolutionは4月24日、ドイツのベルリンの街角に特殊な自動販売機を設置し、非常に興味深い社会実験を実施した。上記の動画はそのときの人々の様子を撮影したものだ。

 Boredpandaの記事によれば、Fashion Revolutionは2013年の同日にバングラデシュで起きた縫製工場「ラナ・プラザ」ビル崩壊事故の過ちを忘れないように祈念して、この自動販売機を設置したという。

 2年前の崩壊の前日、「ラナ・プラザ」ビルには亀裂が発見され、使用中止を命じた警告が出されていた。それにもかかわらずビルの管理人は警告を無視し、労働者に出勤を命じた結果、1,000人以上の労働者がビル崩壊の犠牲となるという悲劇が起こった。このラナ・プラザ事故以前にも、同ビルの縫製工場に勤めていた従業員らは劣悪な環境の中で労働を強いられており、その中に未成年の労働者も含まれていた。

 Fashion Revolutionは、Tシャツを購入したい人々に自分の持っている洋服がどのような労働条件で作られていたかについて考えてもらうきっかけを作ろうと、購入前にまず劣悪な環境を説明した動画を再生してから「購入」するか「寄付」するかの2択を迫る自動販売機を設置した。その結果、ほとんどの人はTシャツを購入せずに劣悪な労働環境を改善するための寄付をした。

 我々は普段買い物をする際、手に取った商品がどのような環境で誰によって作られたのかを意識することはほとんどない。しかし、この自動販売機の社会実験から分かるように、人々はその情報を知るだけでも意思決定を変えることができ、遠く離れた人々の労働状況に決して無頓着でいるわけではないのだ。

 しかしながら、我々はただ情報を知らないというだけで、商品の購入を通じて無意識のうちにコスト至上主義の企業が黙認している劣悪な労働状況を助長している可能性もあるのだ。今回の社会実験を契機に、今後消費者がこれまで以上に商品の先にいる人々に興味を持ち、衣料品メーカーらに対して衣料品の生産に関わる人々の労働環境の透明化・改善に向けた情報開示を求める動きを活発化させることが期待される。

【参考記事】This Vending Machine Sold T-Shirts For Only 2 Euros, But Nobody Wanted To Buy Them
【団体サイト】Fashion Revolution

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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