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【インド】最先端のモバイル技術を活用したBOP層向けヘルスケアサービスが急拡大

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 貧困層の医療へのアクセスが大きな社会課題の一つとなっているインドでは、最先端のモバイルテクノロジーとクラウドを活用した革新的なヘルスケアサービスが急成長している。提供しているのは2010年に設立された社会的企業のSevamobだ。

 同社はインド国内の中でも特に医療インフラが行き届いていない地域において、貧血を30%減らし、子供へのHIV感染を国平均の少なくとも半分まで低下させ、虫歯を25%減らすという目標を掲げている。同社は先日、UNDP(国連開発計画)主導のもとで貧困の撲滅に向けた革新的なビジネスモデルの創出に取り組んでいる企業らによるグローバルイニシアチブ、BCtA(Business Call to Action)にも加盟したばかりだ。

 インドではBOP層の手の届くヘルスケアサービスは限られており、欧米と比較して平均寿命は14年も短くなっている。12億人という人口を抱えるインドには巨大な潜在ヘルスケア市場が存在する一方で、BOP層のヘルスケアインフラ整備に取り組む企業はこれまでほとんどなかった。この市場にいち早く目をつけて飛び込んだのがSevamobだ。同社はプライマリーヘルスケアと健康保険をセットにした月額のサブスクリプションモデルを開発し、従来の選択肢と比較して80%も安い価格でより高品質な診療・治療を受けられるヘルスケアサービスを開始した。

 Sevamoの提供するサービスはインドの6つの州、15の移動診療所と遠隔サービスを通じて利用可能となっている。移動診療チームはプライマリーケアの医師スタッフで構成されており、彼らは24時間のコールセンターおよび、病理学研究機関などを含む第三者のサービス事業者によるネットワークの支援を受け、現地で患者の診療・治療にあたる。また、同社はその他の地域においてもリモートによるサービスを提供している。

 同社のビジネスモデルの核となるイノベーションは最先端のモバイル技術の活用だ。移動診療所の診療チームはアンドロイドタブレットを活用して患者の情報を収集し、そのデータをクラウドサーバーにアップロードする。クラウドに集められたレポートは流行中の病気や症状など健康に関するデモグラフィックデータとして診療に役立てられる。また、患者の記録は診断のたびに更新され、自動でクラウドに蓄積されるようになっている。医療従事者向けの研修資料などもGoogle Docsなどを通じて共有されており、医師らはウェブ会議を通じてトレーニングを受けられる。

 Sevamovは2012年のサービス開始以降、既に毎月2万人もの患者の医療相談を実施している。同社はインドのBOP層に対するより低価格で高品質なヘルスケアサービスを実現するべく更なるサービス拡大を計画しており2019年までに移動診療所を通じて80万人に、遠隔診療を通じて3700万人にサービスを提供するという目標を掲げている。

 Sevamoはインドのヘルスケアを移動診療と遠隔診療によって根本的に変えることを目指している。最先端のモバイルテクノロジーとクラウド技術を活用して社会課題を解決しようとする同社の挑戦に今後も注目が集まる。

【参照リリース】Sevamob joins the Business Call to Action with commitment to deliver healthcare in India through mobile technology
【企業サイト】Sevamob

(※写真提供:reddees / Shutterstock.com

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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