【フランス】公的年金基金ERAFP、投資先の気候変動評価を行う委託先5社を発表 2017/02/05 最新ニュース


 
 フランスのERAFP(フランス公務員退職年金基金)は1月23日、投資先企業の環境課題と気候変動戦略を把握するための委託先コンサルティング企業に、Trucost、I Care & Consult、Grizzly RI、Beyond Ratings、Carbone 4の5社を選定したと発表した。契約期間は3年間。

 ERAFPは、フランスで従来から制度化されていた賦課方式型年金基金が将来破綻に陥るとの懸念から設立された積立方式型年金基金。2005年1月に営業を開始した。現在の運用資産残高は260億ユーロ(約32兆円)。同年金基金は発足時から全ての運用でESG投資を実施していることで世界的に有名。2006年には「SRI憲章」と呼ばれる内部規定を制定し、ESG投資の具体手法として「法治と人権」「社会的進歩」「社会民主主義」「環境」「ガバナンスと透明性」の5分野を投資先選定に組み込むことを決定。2007年からSRI憲章を用いた運用を開始した。

 ESG投資には様々なタイプがあるが、ERAFPは、世界的に一般的な「ネガティブ・スクリーニング(ESG評価の低い銘柄を排除)」ではなく、「ベスト・イン・クラス(ESG評価の高い銘柄を選択)」するというポジティブ・スクリーニング型の運用を行っている。議決権行使については、以前は制限されており実施していなかったが、2012年からは厳格な内部規定とフローを制定し、議決権行使型のESG投資も今は採用している。また、非人道的兵器やクラスター爆弾の開発、製造、販売を行う企業と、死刑、拷問、児童兵を用いる国の国債は投資から排除している。

 そして、パリ協定など世界的な気候変動への取組が活発化してきたことを背景に、ERAFPは2016年10月、投資先企業の環境課題と気候変動戦略を評価に組み込んだ投資先銘柄選定を実施していくことを発表。評価を実施する委託先コンサルティング企業の公募選定に着手した。公募実施は2つプログラムで実施され、株式と債券のアセットクラスでは、Trucost、I Care & Consult、Grizzly RI、Beyond Ratingsが選ばれた。一方、それ以外の不動産、インフラ、プライベートエクイティのアセットクラスでは、Carbone 4が選ばれた。

 Trucostは自然資本会計の分野で世界的に著名な英国企業。現在は、米S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの傘下に入っている。I Care & Consultはフランスに本社を置く環境コンサルティング会社。Grizzly RIは、フランスに本社を置く持続可能な発展、CSR、責任投資分野のリサーチ会社。Beyond Ratingsは、同じくフランスに本社を置くソブリンリスク評価会社。Carbone 4は、エネルギーシフト分野のコンサルティング会社。

 ERAFPは、これまでもESG投資の分野で世界のリーディング機関の一つとして名を馳せてきたが、さらに気候変動テーマで踏み込んだ投資先評価を実施することを大手年金機関として世界でいち早く導入した。今後同様に気候変動をポートフォリオ分析に組み込む動きが、世界の他の大手年金基金にも広がっていきそうだ。

【参照ページ】ERAFP selects consulting firms specialised in evaluating climate change related risks and opportunities
【ESG投資方針】SRI in France
【機関サイト】ERAFP
【機関サイト】Trucost
【機関サイト】I Care & Consult
【機関サイト】Grizzly RI
【機関サイト】Beyond Ratings
【機関サイト】Carbone 4

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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