リコーは3月23日、東京証券取引所に対し、「通期連結業績予想の修正および減損損失の計上に関するお知らせ」の適時開示を実施。連結税引前利益が前回発表の140億円の黒字から、1,700億円の赤字に転落する見込みだと発表した。北米でオフィスでのペーパーレス化が想定以上に進み、買収した北米企業の収益が想定通りに進まなかったため。
同社の山下良則社長は、東京で記者会見を実施。北米企業を買収した背景について、(コピー・プリンター)の台数が多ければ保守メンテンナンスの機会も増え、利益も増えることを想定していたと語り、「デジタル化とモバイル化がこんなに早く進むとは思わなかった。そこが一番大きい」と要因を話した。
リコーは、以前から「環境経営」実施の評判が高かった企業。2018年4月21日には、中長期的な環境目標の発表と同時に、再生可能エネルギー100%での事業運営を目指す国際イニシアチブ「RE100」に日本企業として初めて加盟したことも表明し、注目を集めていた。しかし、今回の業績下方修正は、リコーが「オフィスでのペーパーレス化」という環境要因がもたらす事業リスクを適切にマネジメントできていなかったことを示唆している。
今回の業績下方修正では、同社の米国販売会社Ricoh USAが2008年に買収したIKON Office Solutionsの買収のれん等の固定資産の減損損失として約1,400億円を計上。また同じくRicoh USAが2014年に買収したmindSHIFT Technologies他でも約400億円の減損損失を計上する。同社は、国際会計基準(IFRS)を採用しており、買収企業の収益性テストを行った結果、減損処理の必要が生じた。
【参照ページ】通期連結業績予想の修正および減損損失の計上に関するお知らせ
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