米医薬品卸大手マクケッソン・コーポレーション、アメリソース・バーゲン、カーディナル・ヘルスの3社は、オピオイド訴訟問題で、州政府や地方政府からの全訴訟を和解で決着させるため、180億米ドル(約1.9兆円)を支払うと提案したことがわかった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが10月15 日、報じた。また、米薬品大手ジョンソン・エンド・ジョンソンも、その動きに加わり、40億米ドル(約4,300億円)を支払提案を行ったと、米金融情報大手ブルームバーグが報じた。
米国では、医療用麻薬「オピオイド」の中毒蔓延問題で、製薬会社、医薬品卸会社、薬局等が、政府や市民から訴えられる訴訟が数千件にものぼる。米連邦政府の統計では、1999年以降、オピオイドの投薬で、違法製品及び合法製品をあわせて40万人が死亡したという。合法製品であっても、安全性を偽って販売されていた可能性が指摘され、訴訟となっている。
オピオイド問題では、同成分の医薬品「オキシコンチン」を製造していたパーデュー・ファーマが、9月15日にニューヨーク州連邦裁判所に、連邦破産法第11章の適用を申請し、認められれば倒産となる。パーデュー・ファーマは、100億米ドルから200億米ドルの間で、全訴訟の和解を試みたが、一部の政府から、創業家サックラー家がより多くの責任を追うべきとの反対が起き、頓挫していた。
【参考】【アメリカ】パーデュー・ファーマ、オピオイド訴訟で米24州・5領土政府と暫定和解。同時に破産申請(2019年9月20日)
ブルームバーグによると、イスラエルのジェネリック医薬品大手テバファーマスーティカル・インダストリーズは、全訴訟を決着させるため、オピオイド過剰摂取に対応する医薬品等のジェネリック製品を150億米ドル以上無償提供することを提案しているという。
今回の和解提案は、オハイオ州クリーブランドの連邦裁判所での審理開始の前日に行われた。同裁判では、マクケッソン・コーポレーション、アメリソース・バーゲン、カーディナル・ヘルス、テバの4社が主な被告となっている。
[2019年10月22日追記]
マクケッソン・コーポレーション、アメリソース・バーゲン、カーディナル・ヘルス、テバファーマスーティカル・インダストリーズの4社は10月21日、米国での約2,700件のオピオイド訴訟を一括して審理するクリーブランド連邦裁判所の審理開始前に、原告の一つであったオハイオ州の2郡政府との間で、合計2.6億米ドル(約280億円)の和解で合意した。テバが2,000万米ドルの和解金と、2,500万米ドル分のジェネリック医薬品無償提供を、残り3社が合計2.15億米ドルを負担する。マクケッソン・コーポレーション、アメリソース・バーゲン、カーディナル・ヘルスの3者は、法的過失については、否定している。
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