環境評価機関世界大手英Trucostは11月26日、機関投資家、企業、政府向けに、気候変動の物理的リスク分析データセット・サービスを開始したと発表した。物件(アセット)単位で物理的リスクを分析しており、法人単位、投資ポートフォリオでも物理的リスクをスコアとして把握できる。今回同時に、同データセットを活用し分析した全体の結果もレポートとして発表した。
Trucostによると、S&P500採用企業の中で気候変動の物理的リスクが高い企業は約60%。S&P1200採用企業でも40%以上に達する。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の動きにより、大手企業はエネルギーを中心に移行リスクを分析するアクションが始まったが、物理的リスクについては依然として定量分析がされていないことが多い。
同サービス「Trucost Climate Change Physical Risk」では、「山火事」「熱波」「寒波」「水ストレス」「河川洪水」「ハリケーン」「沿岸洪水」の7つの気候変動による自然災害を分析対象とし、世界15,000社、合計50万施設を分析した。分析手法開発では、ドイチェ・アセット・マネジメント等の機関投資家や、企業、学者と協働した。
今回発表のレポートでは、2100年までに4℃上昇する「RCP8.5シナリオ」、2100年までに2℃超上昇する「RCP4.5シナリオ」、2100年までに2℃未満上昇に抑える「RCP2.6シナリオ」の3つのシナリオを用いた全体動向をまとめた。結果、移行リスクが低い企業でも、物理的リスクが高い企業が多数あることがわかった。
【参照ページ】Trucost launches Physical Risk Analytics to help assess risks and opportunities from climate change
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