世界保健機関(WHO)は5月、中国のBGI(華大基因)と達大基因(Daan Gene)の両社が開発した新型コロナウイルス検査薬を、緊急時使用リスト(EUL)に加えた。中国のPCR検査薬が新型コロナウイルス感染症でリスト入りしたのは今回が初。
世界保健機関(WHO)は、2014年から2016年に発生したエボラウイルス感染症のアウトブレイクを受け、緊急時使用の審査とリスト記載(EUAL)の制度を整備。EUAL は、主に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」での体外診断薬(IVD)、治療薬およびワクチンの候補薬の使用を緊急的に許可するもの。各国での使用許可は、あくまで各国政府によって下されるが、主に発展途上国等、自身で十分な判断能力を持たない政府のために、WHOとして判断するものとして機能している。
新型コロナウイルス感染症では、スイス製薬大手ロシュのPCR検査薬が4月3日に最速でリスト入り。その後、4月7日に英Primerdesign、4月9日にアボット・ラボラトリーズ、4月24日に米パーキンエルマーのPCR検査薬がリスト入りした。これに、5月6日にBGI、5月14日に達大基因のPCR検査薬が加わり、リスト入りは6製品となった。
BGI(華大基因)のPCR検査薬「2019-nCoV検出蛍光リアルタイムRT-PCRキット」は、日本でも2月20日に中国駐日本大使館経由で寄贈され、3月27日にはシスメックスが代理販売する形で厚生労働省から国内初の体外診断用医薬品の薬事承認を獲得した。同検査薬は、中国の国家食品薬品監督管理局(NMPA)認可、欧州のCEマーク、オーストラリアTGA認可、カナダ政府からの認可も得ている。日本ではすでに、ロシュ、医学生物学研究所、栄研化学社、杏林製薬、ダナフォーム、日本ベクトン・ディッキンソンのものも承認されている。
達大基因は、中山大学の大学内スタートアップとして創業。同社のPCR検査薬も中国の国家食品薬品監督管理局(NMPA)から承認されている。
【参照ページ】WHO Emergency Use Listing for In vitro diagnostics (IVDs) Detecting SARS-CoV-2 Nucleic Acid
【参照ページ】BGI’s Real-time Fluorescent RT-PCR Kit for Detecting 2019-nCoV was Listed in the Emergency Use Listing of WHO
【参照ページ】国内初、新型コロナウイルス検査キット(RT-PCR 法)の薬事承認を取得
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