EU下院の役割を担う欧州議会は6月18日、欧州委員会が提案したEUタクソノミーに関するEU規則案を可決した。すでに上院の役割を担うEU理事会を4月に通過しており、今回同法が成立した。官報掲載後、施行する。
【参考】【EU】EU理事会、EUタクソノミーを可決。気候変動ファイナンス規制強化。欧州議会での審議へ(2020年4月17日)
同法案は、EUでの二酸化炭素排出量を2050年までにゼロにするために必要な業種・技術への投資を加速させるもの。EUでは、2050年までに40%削減を法定目標としており、EUタクソノミーは同戦略の柱の一つとなる。EUは、必要分野への投資ギャップが年間1,800億米ドル(約1.9兆円)と試算しており、EUタクソノミー・ルールを通じて、投資ギャップを埋めに行く。
今回成立したEU規則では、EUタクソノミーでは、対象領域を「気候変動緩和」「気候変動適応」「持続可能な消費と水・海洋資源の保護」「サーキュラーエコノミーへの転換」「汚染防止と汚染管理」「生物多様性と生態系の保護及び回復」の6つに確定。各々の領域で、2050年までのカーボンニュートラル化を実現できるものを「グリーン」と認定し、詳細の定義を設定することを義務付ける内容となっている。
また同EU規則では、カーボンニュートラルとの整合性はないが、それに向けて不可欠な分野に対しては「トランジション」もしくは「イネーブリング」との別のラベルを付けることとした。但し、業界内で二酸化炭素排出量がトップ水準で少なくなければならない。一方、石炭や褐炭等の個体化石燃料に対してはトランジションやイネーブリングも禁止し、ガスと原子力発電に対しては、トランジションやイネーブリングは可能だが、「do no significant harm(DNSH)」原則に反しないことを条件とした。
今後のスケジュールでは、気候変動緩和と気候変動適応のタクソノミーは2020年中に最終決定し、2021年末までに施行される。他の4領域は2021年末までに完成し、2022年末までに施行する。いずれも欧州委員会のみで発行できる委託法令の形式を採る。
【参照ページ】Green finance: Parliament adopts criteria for sustainable investments
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