シンガポール通貨監督庁(MAS)は6月25日、銀行、保険会社、運用会社向けの環境リスクマネジメント・ガイドライン案を発表し、パブリックコメント募集を開始した。シンガポール政府は、グリーンファイナンス・アクションプランを進め、アジアでのグリーンファイナンスの中心の座を狙っており、今回のガイドラインもその一環。パブリックコメント提出の締切は8月7日。
同ガイドライン案は、シンガポールの金融機関の環境リスクに対するレジリエンス向上や、環境サステナビリティへの移行における金融機関の役割強化等を目的としている。特に気候変動に主眼が置かれている。同ガイドライン案は、銀行・金融機関向け、保険会社向け、運用会社向けの3つの独立したドキュメントで構成。策定には、シンガポール銀行協会、シンガポール損害保険協会、シンガポール生命保険協会、シンガポール再保険協会、シンガポール投資管理協会が協力した。
同ガイドライン案は、銀行、保険会社、運用会社に対し、ガバナンス、リスクマネジメント、情報開示の中に環境サステナビリティを盛り込む内容となっている。ガバナンスについては、金融機関の取締役や上級管理職に対し、自社戦略や提供商品に環境観点を組み入れ、環境リスクに関する効果的な監督を求めた。
リスクマネジメントでは、投資先に対するデューデリジェンスの実施等を含む環境リスクのアセスメントを要請。環境リスクを把握するためのツールやメトリクスの策定や、投資先の環境リスクプロファイルの改善を求めた。
情報開示については、投資家の姿勢改善に寄与するよう、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)等の国際フレームワークに従い、定期的かつ環境リスクに関する定期的で価値のある開示を求めた。
同ガイドラインは、金融機関に対し義務的内容とはなっていないが、政府から要請するという内容となっており、事実的に義務性を帯びるものとなっている。適用はシンガポールの全ての銀行、保険会社、運用会社に適用される。
【参照ページ】MAS Consults on Environmental Risk Management Guidelines for Financial Institutions
【参照ページ】Guidelines on Environmental Risk Management
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